Kanazawa Jazz Days

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ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

(ECM2258) Chris Potter : The Sirens (2011) 現代音楽と通底するテイボーンの美しい音

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 ここのところのティボーン聴きシリーズで気に入った一枚。どうもクリス・ポッターは「丸くなったブレッカー」という感じで、あまり聴かない。巧いし、なかなか聴かせるのだけど、ちょっと印象を残さないところがある。

 このアルバムは、James A. FarberによるNY・アヴァターでの録音。他のアルバム同様、実に良い録音。絶妙の残響感で1970年代のECMの気持ちよさを再現している。楽器の力強さも残していて、ドラムも現代音楽的な打楽器ではなく、ジャズのドラムセットそのもの。管も肉体的な感触も残している感じ。何よりも、ティボーンのピアノもジャズ的な熱気が、ECM的な低音のなかで冴え渡っている感じで、その良い意味での違和感が心地よい。

  やはりクリス・ポッターにはあまり耳がいかない。実に良い演奏なのだけど、背後に鎮座している先人達、ブレッカー、リーヴマン、さらにはトレーン、コールマン、そのような陰を綺麗にまとめた感じが物足りない、ように思える。彼自身の味、が良く分からない。聴き足りない事実はあるのだけど。

 ティボーンのピアノが冴える瞬間は、さして多いアルバムではないのだけど、その瞬間の素晴らしさ、を待つだけで楽しい。現代音楽を聴いているとき、メシアンとかリゲッティの曲を聴いているとき、ピアノの響きに痺れる、そのときの感覚が蘇るようなタッチ。それがジャズ的な匂いを纏いながら、歪んだ音空間を形造り、奇妙な味を感じさせる。美味しすぎる。ティボーンの演奏は、作曲行為、のようなものに溢れている、のではないか。即興的なものではない。そのような部分で、現代音楽と通底する美しい音になっていると感じた。ECMとの相性の良さ、を思う。

Sirens

Sirens

 

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(ECM2258) Chris Potter : The Sirens (2011)
1. Wine Dark Sea(Chris Potter) 8:47
2. Wayfinder(Chris Potter) 6:49
3. Dawn (With Her Rosy Fingers)(Chris Potter) 7:23
4. The Sirens(Chris Potter) 8:38
5. Penelope(Chris Potter) 7:14
6. Kalypso(Chris Potter) 8:24
7. Nausikaa(Chris Potter) 5:40
8. Stranger At The Gate(Craig Taborn) 8:12
9. The Shades(David Virelles) 2:11
Chris Potter (ss, ts, b-cl), Craig Taborn(p), David Virelles(prepared piano, celesta, harmonium), Larry Grenadier(b), Eric Harland(ds)
Design: Sascha Kleis
Photograph: Thomas Wunsch, John Rogers
Engineer: James A. Farber
Engineer [Assistant]: Charlie Kramsky
Producer: Manfred Eicher
Released: 08 Feb 2013
Recorded on September 2011, at Avatar Studios, New York