Kanazawa Jazz Days

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Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Miles Davis: The Man With The Horn (1981) 良く編曲された音 

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  ジャズを聴きはじめた1979年、ガイドブック片手に1950年代から1960年代の名盤を買い始めた。マイルス・デイヴィスも何枚か。Kind of Blue, Milestone, ingシリーズを手始めに、でESPあたりで面白くなくなってきた、ように感じた。

 ガイドブックでカヴァーされていないのは1970年以降、でとりわけ1975年のアガルタ、パンゲアあたりは横尾忠則の奇っ怪なジェケットもあいまり、その音への興味は高まっていた。当時住んでいた高槻のジャズ喫茶(はじめての店、ギター奏者の方がやっていた)で、恐る恐るリクエストしたら、店主の顔が少し歪んだことが忘れられない。そして、その後の轟音。いたたまれない気持ちだった。それが快感に変わったのは、もう少し後。

 その頃はマイルスは隠遁中で、その動静はタマに雑誌に出るものの、過去の人のようになっていたような気がする。だから1981年にこのアルバムが出たときの、ある種の驚きと熱狂は忘れがたい。同時にリリース後に聴いた音への意外感、ファンクでもないし、ジャズでもクロスオーヴァーでもない違和感のようなもの、も皆感じていたように思う。だけど確かにマーカス。ミラーのグルーヴするベースの上でのマイルスも悪くないよな、と思ったし、もっとポップなアーヴィングとのセッションも案外気に入った。1960年代以前の伝統ジャズの延長線では勿論なくて、1970年代のファンクでもない、1980年代のマイルスをnew commerのボクはすんなり受け入れた、ように記憶している。

 今夜、久々に聴いてみたのだけど、creditにアレンジが明記されているように、良く編曲された音であることに気がついた。違和感のようなもの、の正体が作り込まれた音であった、ということじゃないかなあ、と思う。それでいてジャズ的な音の愉悦は確かにある。今の現代ジャズと呼ばれたりする音楽と通底するものは同じ、ように思える。ギル・エヴァンスの編曲サポートも伝えられるが、即興という作曲行為の一種に対する重み付けが、ジャズにおいて不連続的に低下している瞬間を捉えた作品のように感じた。映画の件があるのだろうが、グラスパーが今取り上げる意味、を少し知ったような気がした。

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Miles Davis: The Man With The Horn (1981, Columbia)
A1. Fat Time (Miles Davis) 9:53
A2. Back Seat Betty (Miles Davis) 11:15
A3. Shout (Robert Irving III, Randy Hall) 5:52
Robert Irving III, Randy Hall(key), Felton Crews(b), Vincent Wilburn(ds)
B1. Aida (Miles Davis) 8:10
B2. The Man With The Horn (Robert Irving III, Randy Hall) 6:32
Robert Irving III(key), Randy Hall(key, vo, g), Felton Crews(b), Vincent Wilburn(ds)
B3. Ursula (Miles Davis) 10:50
Miles Davis(tp), Bill Evans (ss on A1, A2, B1 to B3), Barry Finnerty (g on A2, A3, B1, B3), Mike Stern (g on A1), Marcus Miller (b on A1 A2, B1, B3), Al Foster (ds on A1, A2, B1, B3), Sammy Figueroa (perc on A1 to A3, B1, B3)
Executive-Producer: George Butler
Producer: Teo Macero
Recorded and Mixed at CBS Recording Studios, New York.

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