Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

田中鮎美, Johan Lindvall, Christian Wallumrød: 3 pianos (2016) レコードで聴く

Nakama recordsに注文していたレコードが届いた。注文は半年以上前だったのだけど、本作の仕上がりが満足しなかった、とクリスチャンから連絡があり、それから随分かかった。クリスチャンはお詫び、に新しい1枚を足してくれた。

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届いたレコードを聴いて、レコード、ディジタル音源のそれぞれを何回も聴き直した。音の明瞭度は明らかにディジタル音源。レコードには柔らかさ、のようなものが付加された感じ。3台のピアノが発する音は1台の3倍。そのようなダイナミックレンジの難しさに対し、ディジタルは巧く回避でき、レコードは最後まで苦労したのではないか。フォルテッシモでは音割れぎりぎりの収録となっている。また無音時の針のトレース音も気になった。勿論、レコードでのピアノの柔らかな美音も楽しめるのだけど、音空間の無を聴かせるようなアルバムの特性には、ディジタルが向いているのかな、と思った。難しいレコード作りだったのだろうと思う。(またまた聴き直していると、レコードでの大きな音の柔らかさ、も捨てがたい。)

そうやって音と向き合った数時間、これも又、幸せな時間であった。Nakama recordsのクリスチャン、ありがとう。

[2016-11-21記事]美しいということへの執着

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 一昨日にリリースされたアルバム。本日、bandcampにアップされたので、早速入手。金沢でのNakamaの公演ですっかり「やられて」いるのだけど、その期待値、を遙かに超える素晴らしい音。聴いていると、惹き込まれて止まない。

 ジャズと現代音楽の境界線よりは現代音楽側、というか現代音楽と呼んでもいいかもしれない。ある種の記譜あるいは作曲行為が行われた記録であり、その3人が発する音はピアノという楽器が発する音が、美しいということへの執着に溢れていて、しかも最小限の音数で、最大限の煌めく音の変化を捉えている。

 先日、ケージの初期の曲を聴いたのだけど、あのようなピアノの打音を探求したような音を3人で探り合い、音を紡いでいく記録は壮観でもある。そして、うっすらとした音のスパークが暗闇の中で放つ光のような、次から次から現れ、そして瞬時に消えていく。その余韻を慈しむような時間。

 Nakamaと通底する音の在り方の面白さ、美しさ、を存分に味わえるアルバムであり、ジャズ・現代音楽のアプローチを昇華させたような驚きに満ちたアルバムだった。

[追記]

似た味わいがあるのが、ヴェトナム映画「青いパパイヤの香り」の現代曲(トン・ツァ・ティエ)、と思い出した。緩い、微かな東洋的と見紛う音空間が流れていく。


 

3 pianos

3 pianos

 

 

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Tanaka/Lindvall/Wallumrød: 3 pianos (2016, Nakama records)
1. till patrick modiano no.1 01:58
2. 34 05:51
3. till patrick modiano no.2 05:04
4. 31 06:18
5. till patrick modiano no.3 04:15
6. romaine brooks 04:36
7. 33 07:10
Track 1, 3, 5 & 6 are composed by Johan Lindvall
Trac 2, 4 & 7 are composed by Tanaka, Lindvall and Wallumrød
田中鮎美(p), Johan Lindvall(p), Christian Wallumrød (p)
Recorded by Ingar Hunskaar at the Norwegian Academy of Music in June 2016, Oslo
Mixed by Ingar Hunskaar
Mastered by Fridtjof A. Lindemann
Cover art & design by Junpei Tetsuha
2016年11月19日リリース