Kanazawa Jazz Days

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Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

(ECM2465) Tord Gustavsen: What Was Said (2015) 雨降りの朝はレコード

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 雨降りの朝はレコードを聴いている。まとめ買い(送料節約のため)で入手した1枚。半分くらいは未聴。これも、未聴の1枚。冷え切った音響装置がゆっくり暖まるにつれ、音が広がりだす様子が手に取るように分かる。エレクトロニクスや打楽器で彩られた声やピアノがゆっくり躍動する。そんな音を味わい尽くすにはぴったりの曇天。11月の北陸向きのアルバム。北欧の奏者のアルバムを聴くと、いつもそう思う。

 ECMの近作を聴くと、残響過多の加工臭が気になって、最近少しイヤになっていたのだけど、不思議とレコードで聴くとストレスが少ない。概して、音が柔らかいのである。ECMの初期のアルバムをCDで聴くと、かなり痩せたような感じがあって、音を楽しむにはレコードで聴くべき、と思っている。近年のCDの音質は概ね満足がいくもので、レコード・リバイバル的なものには戸惑いを感じているのだけど、やはり、レコードのほうがいいのか。

 このアルバムは実にECMらしい編成、ピアノ、ヴォイス、打楽器、ふっとノーマ・ウィンストンのアルバムなんかを想起する。面白いことに、あの頃のアルバムより暖かい音色なんだけど、それが違いを感じさせていて、面白い。二番煎じ的な印象は全くない。声は透明度を感じさせるも、やや美味しい濁り・枯れがあって、それが暖かみになっている。そこに全体の音色の焦点があたっている。ノルウェイ民謡を唄うと、トネフを想起するが、沈殿するような心象はなくて仄かに明るい。そこがアルバムの強い個性のように思える。

 ピアノも耽美一色では決してなくて、ECM以前のキースを思わせるような、フォークやロックっぽい躍動感のある音も出していて、実に楽しい。そして仄かな暖色の美しさ。グスタフセンの名前を見て、なんか数多の「現代ジャズね」と思って、手を出さなかった不明を恥じた。

 エレクトロニクスの使い方も自然で、だけどそれが21世紀の音であることを巧みに主張している。ECMという、今や保守的なブランド、のようにすら思える枠の中で、伸び伸びと個性を主張しているようにも聴こえ(違うかもしれないが)、良かったなあ。レコードプレスに選ばれているのだから、極上の一枚、かも知れないのだけど。

 

追記:

このレコードは3面。4面めは何もない。キースのEye of the heart以来じゃないかなあ、そんなレコード見たの。

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参考記事:


what was said

what was said

 

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(ECM2465) Tord Gustavsen: What Was Said (2015)
A1. Your Grief (Tord Gustavsen)2:40
A2. I See You(Norwegian Traditional) 5:06
A3. Imagine The Fog Disappearing(Mathilda Montgomery-Cederhielm) 6:30
A4. A Castle In Heaven(Norwegian Traditional) 4:37
B1. Journey Of Life(Norwegian Traditional) 7:24
B2. I Refuse(Tord Gustavsen) 5:43
B3. What Was Said To The Ros / O Sacred Heart (Hans Leo Hassler) 5:33
B4. The Way You Play My Heart(Tord Gustavsen) 3:04
C1. Rull(Tord Gustavsen) 3:06
C2. The Source Of Now(Tord Gustavsen) 4:22
C3. Sweet Melting(Norwegian Traditional) 3:22
C4. Longing To Praise Thee(Norwegian Traditional) 4:23
C5. Sweet Melting Afterglow(Tord Gustavsen) 3:39
Tord Gustavsen(p, electronics, synth), Simin Tander(voice), Jarle Vespestad (ds)

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Design: Sascha Kleis
Photograph: Max Franosch, Francesco Saggio, Øyvind Hjelmen
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Producer: Manfred Eicher
Recorded April 2015, Rainbow Studio, Oslo
Released: 29 Jan 2016