Kanazawa Jazz Days

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ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

(ECM 2073) Miroslav Vitous: Remembering Weather Report(2006-2007) 改めて聴き直す

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 実は発売されて直ぐ入手したのだけど、存外にweather reportらしくないなあ、と思って、その後、あまり聴いていなかったアルバム。ボクが大好きな初期(vitousu時代)のWRのカヴァー集だと勝手に期待していたからだ。

 ヴィトウスのWRモノの2枚目が届いて、聴いているうちに、気になってこのアルバムを取り出した。録音時期はこちらのほうが早い。新しい方のWRモノにはライナーノートの記載はないのだけど、旧作にはある。いつもは全く文章は読まないのだけど、あれから40年後に、どのような考えでヴィトウスがWRを取り上げたのか気になったのだ。ちょっと読んでみた(意訳)。

このアルバムはヴィトウスが最も創造的であった時代の、WRとの仕事の記録ではあるのだけど、WR曲集の再演ではない。1970年代にWRに持ち込んだ考え方での新しい吹き込み。その新しい考えとは、楽器の間のdirect conversation(直接の会話)とparity(等価性)。リズムセクションは従属物だという古い役割からの離脱。ビル・エヴァンススコット・ラファロそしてオーネット・コールマンによって提唱された音楽の更なる方向性を指向したもので、新しい音楽を生み出したものである。(ヴィトウスの離脱後、WRはこのような自由から、ファンクに移行したのだけど、ここでは関係ない)

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 そう、カヴァー集ではないことを、彼は断っていたのだ。そんな訳で、改めて聴き直す(というか前回はほとんど聴いていない)。これがなかなか良い。ヴィトウスが参加したアルバムを聴くと、「失われたWR」を演っているなあ、と思うことがあるのだけど、まさに、このアルバムはそれ。ヴィトウスのベースを軸とした、ややFree Jazzの味を効かせた即興的な演奏が綴られている。

 確かに、最初のアルバムWeather Reportの延長線とも感じるのだけど、Weather Reportではグループ表現という枠ははっきり感じるし、またリズムに対する制約ははっきり与えられていたように思える。そんなに自由な表現、でもなかったのではないか。だから作品を重ねるごとに、ヴィトウスの色は薄くなっていったように思う。だからこそ、「彼のWeather Reportでのアイデア」を改めて今、具現化したくなったのだろうな、と思う。勿論、今の時代では普通に聴いて楽しめるジャズ、に過ぎない、とも思えるのだけど。

 とにかく、ヴィトウスのベースを目一杯楽しめる。それで十分じゃないかなあ、とも思うのだけど。さて、次のアルバムを聴こうか。

 

追記:このアルバムが特殊なのは、プロデューサー・録音がヴィトウスによる、ということ。ECMの普通の在り方とは全く違うのだけど、凄いのは、それでもECMサウンドとしてきこえること。ヴィトウスの技術水準は高いのだろうね。 

 

 参考記事:

 

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1. Variations On W. Shorter (Vitous) 5:13
2 Variations On Lonely Woman (Ornette Coleman) 7:27
3 Semina (In Three Parts) (Vitous) 13:31
4 Surfing With Michel (Vitous) 5:48
5 When Dvořák Meets Miles (Vitous) 10:57
6 Blues Report (Vitous) 4:48
Miroslav Vitous (b), Michel Portal(b-cl), Franco Ambrosetti(tp), Gary Campbell(ts), Gerald Cleaver(ds)
Producer [Recording Producer], Engineer: Miroslav Vitous
Design [Cover Design] : Sascha Kleis
Engineer [Assistant Engineer]: Andrea Luciano
Executive-Producer: Manfred Eicher
Photograph [Liner Photo (Booklet P. 3)] : Claudio Casanova
Photograph [Liner Photo (Booklet P. 4)] : Pablo Sánchez del Valle
Photograph [Liner Photos] : Luciano Viti
Released: 05 Jun 2009
Recorded fall 2006 and spring 2007
Universal Syncopations Studios

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