Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

(ECM1394) AM 4 : ... And She Answered (1989) だから、今朝のように、

  どうも身の回りの大気の温度が上昇してくると、ECMを聴こう、という気持ちが萎んでくる。晩秋から初春に感じたような、体を包み込む空気との冷たくも柔らかい一体感、のようなものを喪っている、からだと思う。

 だから、今朝のように、雨上がりの夜明け前に目覚めると、ふっとECMのレコードに近しさを感じた時間を思い出すことができて、慌ててターン・テーブルをまわしてみた。最近、少し嫌になっているECMの音の筈、なのだけど、アコウスティックな空間がスピーカーから部屋中に溢れ出て、懐かしい幸福感で一杯になった。1989年のRainbow Studio、Jan Erik Kongshaugの録音。極く自然に奥行きを与えられた管楽器、ヴォイス、鍵盤楽器が淡色で交わりながら、球面の波面を想起させていく。

  よく知らない奏者のアルバムなのだけど、ガルバレクから粘度を減らしたようなPuschnigのサックスはとても音色が気持ちよい。Sharrockの声は、この音楽がジャズとの繋がりを持っていることを主張するようなアクセントを控えめにつけていく。Schererのピアノは現代音楽のような響きで、管楽器と声を載せるプラットフォームを提供している。打楽器の音色のようなエレクトロニクス、がそのような空間の彩色を僅かに行っていて、その強度が具合よく、趣味の良さ、を知らしめる。

  1970年代のECMが、伝統的なジャズ、フリージャズ、現代音楽、電子音、民族音楽と格闘し、止揚し得た音、が確かにここに存在していることが分かる。この立ち位置と、まさに現時点のECMとの差異がとても小さいように感じた。残念な感じがするのだけど、その後25年、それでも聴かせる音を出し続けること、も凄いとも思った。

参考記事:

...And She Answered:/AM4: ジャズCDの個人ページBlog

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[ECM 1394] AM 4(Wolfgang Puschnig, Linda Sharrock, Uli Scherer) : ... And She Answered (1989)
A1. Streets And Rivers (Lyrics: Sharrock, written by Scherer, Puschnig) 6:40
A2. And She Answered: "When You Return To Me, I Will Open The Cage Door, I Will Let The Red Bird Flee. (Scherer, Puschnig) 4:06
A3. Lonely Woman (Lyrics: Guryan, Written by Coleman) 6:25
A4. Mi-La (Written by Sharrock, Scherer, Puschnig) 3:00
A5. Bhagavad (Written by Scherer, Puschnig) 5:02
B1. Over The Rainbow (Arranged by Sharrock, Scherer, Puschnig, Written by Harburg, Arlen) 5:30
B2. Far Horizon( Sharrock) 7:25
B3. The Sadness Of Yuki (Puschnig) 3:45
B4. Oh! (Puschnig) 4:38
B5. One T'une (Written by Scherer) 2:50
Wolfgang Puschnig (as, Alto-fl, Hojak, Shakuhachi), Uli Scherer(p, key), Linda Sharrock(vo)
Design; Dieter Rehm
Cover Art: Linda Sharrock
Photograph [Group On Back Cover]: Ernst Schär
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Producer: Manfred Eicher
Digital Recording, April 1989, Rainbow Studio, Oslo