Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

(ECM1055) Gary Burton, Steve Swallow: Hotel Hello(1974) 夢想、のようなものを喚起するような

 ボクは何処にも行けるし、何処にも行っていない。そんな独白を誘う。ジャケットの強い印象は、音をまた違う心象に連れて行く。

  大学の英語の授業で読んだアーサー・ミラーの随想、ニュー・イングランドへの強いノスタルジイを淡い写真とともに。消え去ろうとしている過去の記憶。そんな若い頃に読んだもの、随分と出かけたマサチューセッツで触れたもの、そんなものたちが、古い写真のように浮かんでいる。そして、あのジャケットのホテルがCape codの先端にあるに違いない、という妄想、のようなものを駆り立てる。ボストンから古いクルマに乗って、半島の先端まで行くと、そんなホテルがある、に違いない、と。

 このアルバムで聴こえてくる音は、そんな倦怠感のある夢想を破るでもなく、求心力が弱い、浮遊するような音を繰り出していく。多重録音も使いながら、いろいろな表情の音をコラージュしている。彼らがキース・ジャレットと共有するフォーク、ロック的な音への強い関心が、とても洗練された形でまとめられている。Atlanticのアルバムであったような、ときとして野放図なパワーは削がれているのだけど、ボクはこっちのほうが好きだ。

 最初に書いたような夢想、のようなものを喚起するような、浮遊する音は心地よい。ジャズの室内楽であり、ジャズと周辺の音とのcross overというよりgenrelessという広い裾野を感じさせる音、ECMらしいアルバムになっている。

  このアルバムは1974年5月にマサチューセッツで録音されたもの。remixを経て、完璧にECM的な音に落とし込まれている。バイラークのアルバムの後に聴くと、このアルバムの現代性を強く感じる。

 

(1974年録音のECMアルバムを順番に並べたくなってきた!)

[2011-1-29記事] 酔うた宵だけど

今宵も何だか普通の宵じゃあなくて、ボクとしては、気持ち良く、少し悪酔い気味でへたっている。ということで昨日に続いて手抜きのブログのアップ。

今朝は,週末の山行に備えて山スキーの手入れ、といっても30年近く前に買った貼り付けシールの接着面をメンテナンス。もうボロボロなのだけど,先日行った山道具屋にはボクの山スキーの板にあったシールは置いていなかった。今は,山スキーもカーヴィングの時代で、細くて・長いアルペンの板はないのだ。だから、新しいシールは買えなくて、昔のシールのメンテナンス。ガムテープで縛って、誤魔化そうと思っている。

そんなことをしながら聴いていたのは、昨年末に横浜で入手したECM(独盤)のLPレコード。Gary BurtonとSteve SwallowのHotel Hello。とてもいいんだなあ,ボクのなかの心象風景を震わせる、

・ジャケットがいいよね、黄昏の古ぼけたホテル。時代感覚の話なのだけど、少し後のジョン・アーヴィングの「ホテル・ニューハンプシャー」を想い出す。ガープの世界、の後の作品で大いに期待して読んだから。映画もね。なんだかすごくオーヴァーラップするんだなあ、

・この頃のECMは、Keith JarettとJack DeJohnetteのRuta and DaityaのようにJazz Rockのカラーを案外素直に出していたように思う。Gary BurtonとSteve Swallowって、嘆美的な側面と同時に70年代に入る前のジャズロック表現者だったと思うのだ。その彼らの原風景、オト世界が見事に綺麗な結晶になっている。そう、ECMなのだけど案外グルーヴしているのだよ。

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昨夜、以上のメモを書いたのだけど、この音の風景はなんだろうか、懐かしいような、ある種のアメリカ映画をみたときの感触のような。荒野を貫くどこまでも続く真っ直ぐな道路、路沿いの見捨てられた廃屋、看板が擦れてしまったモーテル、そして雑貨屋。そんな既視感のなかで聴く音楽。Pat Metheny(彼もGary Burtonグループだったね)、70年代はじめのKeith JarrettGary Burtonとグルーヴするジャズロックを演っているのをご存じ?)、そしてFred Herschにも共通して感じるナニカ。同じ白人ジャズでも、Bill Evansは微妙に違う。
Gary Burton: Indiana州
Pat Metheny:Missouri州
Keith Jarrett: Vermont州
Fred Hersch: Ohio州
東部から中部にかけての内陸部。彼らのFolk Songが根っこにナニカあるのだろうか。


参考記事:

 

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[ECM 1055] Gary Burton, Steve Swallow: Hotel Hello(1974)
A1. Chelsea Bells (For Hern) (Steve Swallow) 4:24
A2. Hotel Overture + Vamp 3:39
A3. Hotel Hello (Steve Swallow) 5:20
A4. Inside In (Mike Gibbs) 2:43
A5. Domino Biscuit (Steve Swallow) 1:56
B1. Vashkar (Carla Bley) 5:56
B2. Sweet Henry (Jack Gregg, Steve Swallow) 3:59
B3. Impromptu (Gary Burton, Steve Swallow) 2:29
B4. Sweeping Up (Steve Swallow) 5:25
Gary Burton(vib, org,marinba), Steve Swallow(b,p)
Layout: B & B Wojirsch
Cover Photo: Nick Passmore, Walter Urbanowicz
Photos: Paul Maar
Engineer [Mixing Engineer] : Martin Wieland
Engineer [Rec. Engineer] : John Nagy
Producer: Manfred Eicher
Released:1975
Recorded May 13, 14, 1974 at Aengus Studio, Fayville, Mass.