Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

(ECM1052) Steve Kuhn: Trance (1974) 直球のジャズのスピード感に溢れている

 既に5年前に投稿していた。少し書き足す。

 聴き直したが、いいアルバムだ、1970年代のジャズとして。1974年のジャレットやバートンの吹き込みは、欧州の美学と米国の美学の「Fusion」をジャズというプラットフォームに描き出した習作、すなわちECMそのもの、であると感じた。だから、その意味ではECMでは端っこ側で、最も米国のジャズらしい一枚、とも云える。その1970年代の主流派っぽいジャズを、ECMの温度感・空気感に「おおむね」押し込んだのだから、悪かろう筈はない。

 米国録音なのだけど、初期のような違和感は全くない。米国の録音技師(Tony May)と西独でミキシングした技師(Jan Erik Kongshaug)の処置が、レーベルを深く理解したものだから、だろう。1974年にはそれなりの存在感があった、筈だから。

 キューンが、1960年代既に評価を受けていたという、ジャズ奏者として位置付けが、ECMとの微妙な距離感だろうなあ、と思う。その距離感やECMのレーベルカラーをも軽々と飛ばすくらいの存在感で聴かせるアルバム。直球のジャズのスピード感に溢れている。それでいて、ECMの音として強い違和感を与えない、凄いなあと思う。

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[2010-5-28投稿]

Steve Kuhn:Trans (1974) 胸焼けのAnaheim最終日に男もすなる妖艶なピアノを聴いている

今日はまだAnaheimにいる.珍しく曇天.雨が降るかもしれない.嬉しいことに,中年男には不毛の地Anaheimは今日で最後.ホントに不味い米国食を食べ続けていて,体調が悪い.気持ちが悪い.胸焼けする.いつもはヴェトナムとかタイとかのエスニックでゴマカスが,この地は見渡す限りヨイコ向けにできいて,まともなBarもありゃしない.明日には20時間近くかけて金沢に帰る.帰ったら,とりあえず呑みに行きたい気持ちで一杯だけど大丈夫かな.トシだし.


書きはじめて想い出した.ボクは今はなきマンハッタンの下のほうにあったSweet BasilでSteve Kuhnを「みた」ことがある.1998年の6月のことである.なんとRollinsのVillage Vanguard(1957)にチョロで入っていたPete La Roca(ds)(Basraは好きです)のバンドが出演していて興奮.メンバーは忘れたが3菅のフロントのなかなか激しいバンド.幻のドラマーのように思っていたPete La Rocaが元気なので驚いた(たった一晩,BaltimoreからJFK空港の乗り継ぎで訪れたNYCでみた彼らだから,本当は珍しくもないのだろう).そのピアノがSteve Kuhnだったのだけど,印象の薄さだけを覚えている.思い出せない.Basraと同じようなコンビなので驚いたのだ.だけど影が薄かったなあ.だから「みた」,としか書けない.

ボクはこのTransの一曲目,二曲目のFender Rhodesのハヤリ音の感じや,S.SwallowやJ.DeJohnetteの突き上げるようなドライブ感がとても好きで,今だに良く聴く一枚.三曲 目の気の抜けたフリーのようなモノは我慢するとして,四曲目でまたエレピ.Chick CoreaのカモメのReturn To Foreverのモドキ演奏ではあるが,Kuhnの演奏の方がなんとなく色香を感じて,ちょっと妖艶というよりエッチな感じが気色悪くて,いいの だ.super B級のお味.実際のところ,感動を呼ぶような演奏はKeith Jarrettに期待して,少し下世話な良さはSteve Kuhnの古い録音のお世話になっている感じ.もう一枚持っているECMがEcstasyだったりするので,何じゃこれタイトルが下世話でよい.演奏の官能度は口ならぬタイトルほどでないが.
 Steve Kuhnは今でもマメにポツポツ買っているけれど,最近のジャケットだけ妖艶なVenusのCDは一枚買ってから,もう買ってないなあ.正統派ジャズ,なんて感じで気色悪い.Venusじゃなければ好きな録音はいくつかあるのだが,またFender Rhodesでやらしい感じの演奏をして欲しいと思っている.だけど叶わぬ夢(というほどじゃないが)なんだろうな.

 

参考記事:

 

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[ECM1052] Steve Kuhn: Trance (1974)
A1. Trance(Steve Kuhn) 5:54
A2. A Change Of Face(Steve Kuhn) 4:56
A3. Squirt(Steve Kuhn) 3:00
A4. The Sandhouse(Steve Kuhn) 3:45
B1. Something Everywhere(Steve Kuhn) 7:47
B2. Silver(Steve Kuhn) 2:54
B3. The Young Blade(Steve Kuhn) 6:15
B4. Life's Backward Glance(Steve Kuhn) 3:08
Steve Kuhn(p), Steve Swallow(b), Jack DeJohnette(ds), Sue Evans(perc)
Cover, Design: Frieder Grindler
Photograph: Odd Geirr Saether
Record: Tony May
Mix: Jan Erik Kongshaug
Producer: Manfred Eicher
Released:1975
Recorded November 11 and 12, 1974 at Generation Sound Studios, New York City