Kanazawa Jazz Days

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ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

(ECM1044) Julian Priester Pepo Mtoto: Love, Love (1973) 全てにわたって

 モウピン(ECM1043)からの続き物のようで違う。録音はロス。しかもプロデューサーはプリースターとよく分からないPat Gleesonという人物(ハンコックのMwandishiバンドのシンセサイザープログラマーみたい)。アイヒャーがプロデュサーでない場合、今まではECMへのプロデュース(アルバムでなく)のcreditがあったが、それもない。アイヒャーの文字がジャケットにないアルバムは最初じゃないか。ジャケットのデザインは内藤忠行

  音楽も全く異色で、モウピン(ECM1043)のような中途半端さはなく、しっかりファンク。それにしても、Ron McClureがフェンダー・ベースでファンクをやっている、とは思わなかった。驚き。まったく時代の音。とは云え、黒人音楽の強みで古さは感じない。モウピンのアルバムに、Weather Reportと通底する音を感じたのだけど、こちらはマイルスのファンクバンド。コージィーの頃。案外、フリージャズっぽい管のフレーズと、ディストーションが効いたギター、でファンクだから。

 かなり好みの音楽ではあるのだけど、ECM、じゃないよね。re-mixを欧州でやっていると思うのだけど、米国のメリハリが効いた音圧の高い音を押さえ込んだようなキツいイコライズが感じられ、何とか「ECMの音場」に押さえ込んだ感じだけど、音は不自然。シンバルの音がおかしい。ドラムを(クラシックでいう)打楽器的に入れる欧州録音と、リズム楽器としてパワーを炸裂させる米国録音の間で、うろうろした感じじゃないかなあ。

 もう一つ面白いなあ、と思うのはプリースターはRiversideに吹き込みがあるバップ奏者。それからフリー経由でファンク(かな?)。Riversideという遠く過ぎ去った半世紀前のレーベルと、21世紀の今と地続きであるECMとの両方に吹き込んだ奏者って何だか不思議な感じがする。勿論、時間軸上の不思議はないのだけど(高々、10年の差)、しかしRiversideとECMの間に亀裂・断絶のようなものがあって、その亀裂・断絶がまさにアイヒャーが作った現代のジャズに通じるmain streamからの脱構築じゃないかなあ、と思える。その亀裂・断絶に挟まった、夾雑物なんだろうなあ、このアルバムは。プリースターのもう一枚の吹き込みが楽しみになってきた。

 

参考記事:

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[ECM1044]Julian Priester Pepo Mtoto: Love, Love (1973)
A1. Prologue (Pepo Mtoto Julian Prieste)
A2. Love, Love (Pepo Mtoto Julian Prieste)
side-A 19:10
B1. Images (Pepo Mtoto Julian Prieste)
B2. Eternal Worlds (Pepo Mtoto Julian Prieste)
B3. Epilogue (Pepo Mtoto Julian Prieste)
side-B 18:15
Julian Priester(tb, horn, fl, perc, synth), Hadley Caliman(fl, reeds), Bayete Umbra Zindiko(key),
on B2: Bill Connors(g), Ron McClure(b), Kamau Eric Gravatt(ds)
on A1, B1, B2, B3: Mguanda David Johnson(fl,ss), Nyimbo Henry Franklin (b ), Ndugu Leon Chancler(ds)
Design [Cover] : Tadayuki Naito
Layout: B. & B. Wojirsch
Engineer [Recording] : Dane Butcher, John Vieira
Mix,Producer : Pat Gleeson, Julian Priester
Recorded June 28 and September 12, 1973 at Different Fur Music, San Francisco.