Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

(ECM1298) John Taylor: Azimuth '85 (1985) 透明な音の深さ

  ホーチミンから帰ったらハンガリーのレコードsellerからの包みが届いていた。ECM1000,1100番台のレコードを片付け、ECM1200番台が残り数枚。海外sellerに頼みはじめた。ECMのレコード盤は決して稀少ではなく、世の中のどこかに必ずある。価格も高価ではない。だから、集めているのだけど。

 多忙なこと、出張勝ちで、まとまった時間がなかったので、ECMのレコード聴き、は長い間アップが止まっていた。イワナ釣り、も理由。イワナを媒体にして知る犀川源流の光景に惹かれている。だから寒い時期のほうが音をゆっくり聴く時間が得られる。手元に積み上がっていくレコードをみながら、ゆっくり聴く時間が欲しい、と思っていたが、夏は難しい。

 このアルバムはハンガリーから届いたなかの1枚。蒐集は機械的なので、先入観や思い入れなし。creditをみて、先日、鬼籍に入ったジョン・テイラーのアルバムだと知った。真っ白な気分で、ターンテーブルに円盤を置いた。ピアノの音が広い空間のなかで浮かび上がる。美しい。音と音の間に、見事なほどの空間が広がる。完成されたECMの音。そこにフリューゲルホーンが管楽器であることを忘れさせるほど、透明度の高い、そして低い温度の音を漂わせる。ヴォイスは管と同じ位置づけで、もう少し細かな感情のようなものを帯びて、やはり漂う。

 確かにジョン・テイラーのピアノが中心なのだけど、淡い色使いのパステル画のように、それぞれの音が色彩として軽く塗られていくような、improvisation。その色遣いはやや暗色が勝っていて、アルバム・ジャケットと統一感を醸し出している。そして、聴き手は、透明な音の深さ、のような答えのない問い、のようなものを自問自答する、針が音溝をトレースする間。

 針がレーベル面のエッヂに当たる、コツコツという音、でふっと消えてしまうまでの20分強、音が創る見えない帳の中にいた。そのような空間のなかにいつまでも浸りたい、と思って何回もレコード盤に針を落としていた時間が愛おしい。

youtu.be

-------------------------------------------------

[ECM1298] John Taylor: Azimuth '85 (1985)
A1. Adios Iony(John Taylor) 6:20
A2. Dream / Lost Song(John Taylor) 5:52
A3. Who Are You?(John Taylor) 3:37
A4. Breathtaking(John Taylor) 6:52
B1. Potion 1(John Taylor) 2:12
B2. February Daze(John Taylor) 6:20
B3. Til Bakebiikk(John Taylor) 9:02
B4. Potion 2(John Taylor) 3:35
John Taylor(p, org), Kenny Wheeler(flh), Norma Winstone(vo)
Artwork: Dieter Rehm
Engineer: Jan Erik Kongshaug
Photography: Christian Potion Vogt
Producer: Manfred Eicher
Released: 1985
Recorded March 1985 at Rainbow Studios, Oslo.