Kanazawa Jazz Days

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ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

(ECM1012) Bobo Stenson: Underwear (1971) オリジナルを入手してみた

 先日、東京に出かけた折にオリジナル・プレスを見つけた。下記のアルバムはthird press。初期のアルバムは背に文字がなく、ジャケットにLC番号がない。二つ揃っているから1976年頃、以降のアルバム。プレスで音が違う、と云われていて、気になっていたので、入手した。値段が手頃(プレス数が少ない1400番台のレコードと同じくらい)だったので。

 聴いてみると、2月の記事に書いたような「違和感」を感じない、自然な音。残響感は確かに足りない、とも云えるが、十分ECMのストライクに入っている、と思う。

 プレスで随分と違うものだ。

 

[2015-2-8記載] 過去には戻れない

 ボボ・ステンソンは後年の耽美的な色の強いアルバムから聴きはじめた。ECM色の強い奏者、のように思っていたのだけど、ECM外では案外正統的で力強い、ノリのよい演奏を聴かせることもある。ECMのステンソンはアイヒャーとステンソンの「合作」、なんだろう。他の奏者と同じように。

 このアルバムなのだけど、そんなステンソンをどのようにパッケージするか、まだ過渡的な時代の吹き込みなんだろう、と思う。勿論、ステンソンの多様な側面をうまく捉えたアルバムだと思う。しかし、そこにアルバムを通す「何か」を感じられないような、もどかしさ、も感じる。要は、ほとんど後年のECMたるものがあるのだけど、パッケージにし損なった、ような感じがある。

 ここ2日ばかり、ECMのアルバムをアップしていないのだけど、その理由を考えながら、このアルバムを何回もまわした。ひとつには録音。からっとした明瞭な録音。そう、「あの残響感」が足りないのだ。「絶妙の残響感」が奏者のまわりの空間を定義し、数多の音が流れようと、その背後の無音空間を感じさせるような、あの感覚だ。まさに「奏者」としてのアイヒャーが与える静謐感、それが足りない。だから、ステンソンの演奏の曲調とともに、音の印象が変化していく。そのあたりが、アルバムとしての統一感、をうまく与えていないのだと思う。決して、耽美的な曲からフリーの楽曲まであるから、アルバムの統一感を損なっている訳ではない。このアルバムの録音はオスロ・the Bendiksen Studioでで、Tonではない。また技師もいつもと違う。それも関係しているのか。

 もう一つ不幸なことは(聴き手にとっても)、 過去には戻れない、という事実。多分、ボクが1971年聴いたときに感じるであろう何かと、今聴いたときに感じるであろう何か、は違う。あたりまえだけど。このアルバムの概念の先にカウエルやキューンの名作がある。旋律、曲の躍動を聴いていると、抑えきれないほど「これからはじまるであろう何か」に対する期待が極限まで高まる、アルバム達。奏者に加え、アイヒャーの完璧な音空間造り。これらを知っているだけに、「惜しい」感覚が残ってしまう、のだと思う。

 勿論、良いアルバムなのだけど、良いだけに、その気持ちが募ってならない。典型的なECMのアルバムとしての全て、を備える寸前だからね。

追記:ジャケットも何となく冴えない。この写真の下着は、このレコード用にデザインされたのにね。録音とともに、何となく冴えない印象だけが残った。

youtu.be

 

参考記事:

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[ECM1012] Bobo Stenson: Underwear (1971)
A1. Underwear (Bobo Stenson)
A2. Luberon (Bobo Stenson)
A3. Test (Bobo Stenson)
B1. Tant W. (Bobo Stenson)
B2. Untitled (Ornette Coleman)
B3. Rudolf (Arild Andersen)
Bobo Stenson(p), Arild Andersen(b), Jon Christensen(ds)
Cover Design: B & B Wojirsch
Photography: H. Cananis, L. Gabrielsen
Underwear Design: Leena Westerlund
Engineer: Jan-Erik Kongshaug
Producer: Manfred Eicher
Recorded on May 18 and 19, 1971 at the Bendiksen Studio, Oslo

ボクが持っているレコードはジャケットにLC番号が入っているから後年のプレスだねえ