Kanazawa Jazz Days

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ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Pat Martino: We Are Together Again(2012) 40年近い歳月

 このアルバムの存在を知ったのは最近。こんなマイナで、かつ重要な試みがなされる、って捨てたもんじゃないな、と思った。あのアルバムが好きな人、が居たんだ。嬉しいなあ。

 米Museから出た前作We will be together again(前の記事)が1976年。ボクがジャズを聴きはじめる少し前。派手さ、は全くないのだけど、1970年代の空気を孕みながらも、静謐な音の会話。ECMが氷結した大気の静けさ、ならば、あのアルバムは夜半過ぎの静けさ。音数が多いマルティーノが十分な間をとった、その間が漆黒のように暗い、ように思えた。

 このアルバムが36年後に企画されたこと自体が驚き。We will be together againという予言が、21世紀も10年以上過ぎてから成就した、という不思議。We are together againというタイトルの秀逸さ。全てが泣かせる。

 聴いてみると、枯れた、というコトバがぴったりのようで、実は前作も案外枯れている。夜半すぎの音楽、という点も同じ。時間の経過を感じさせない。ただ、控えめ(だから好きだ)なギル・ゴールドスタインが、さらに控えめ、かな。そんなことがどうでもいいくらい、あの世界そのまま。

 そして21世紀の音楽として聴いても、全く違和感がない。1960年代の4000番台Blue Note的な世界が終焉したあと、進化論的モダン・ジャズの世界が雲散霧消したということを、改めて思うこの頃なのだけど、まさに、この2枚の音世界はそれを物語っているように思える。1970年代以降は分散形ジャズ・ワールド。標準時間軸、という考え方がなくなった。音、があるだけ。その後20年、マイルス生前は未だ進化論のなかにある、という誤謬のなかにあったのだけど、彼の死後、その仮構は消えていった。すでに1970年代から、今と同じbeyond modern ageのなかにあったのだよね、ということを気付かされる一枚。

 そう思えば、少し杯を傾けながら聴いて、娯楽としての音を愉しめばいいんじゃないか、と思うのだ。本当に痺れる音、がここにある。

 

 

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Pat Martino: We are together again(2012, Warner)
1. Body and soul
2. Before you ask
3. Footprints
4. In a sentimental mood
5. City lights
6. Round midnight
7. Pompy
8. Portrait
9. Peace
Pat Martino(g), Gil Goldstein(p)