Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

(ECM1015) Jan Garbarek: Sart (1971) やはり時代感はあるが

 ステンソンのアルバム(ECM1012)と同時期(1ヶ月前)の録音。メンバーはステンソンのトリオに、リーダのガルバレクとギタ−のリピダルを足した構成。後年のECMを支えた奏者が揃っている。不思議なことは、一ヶ月後の録音のECM1012より音的に後年のECMに近づいている部分がある。軽い残響感が奏者と奏者の音の間に空間を作り出し、本来うるさい筈の内容に静寂感を与えている。その感覚って、金沢では東山で呑んでいるとき、と同じ感覚。店の中はそれなりにうるさいのだけど、音が途切れた瞬間、その土地を包み込んでいる静寂のなかにいる、感覚。背中から音が吸い込まれるような感覚を覚えるときがある。

 このアルバムもそう。なかなかウルサイのだけど、ふっと、それを感じる瞬間がある。そこがECMそのものなんだと思っている。一生懸命マスタリングするのに時間がかかって、発売が遅れたのか?ECM1012で感じた、淡い違和感は消えている。

 このアルバムで初めてECMに登場したのはリピダル。彼のジャズ的でない電気ギターはECMの音に変容していくのだけど、ここでは素が見えている。ガルバレク同様。案外、攻撃的で、演奏としては楽しい。その後は2人とも(アイヒャーとの関わりで、多分)、抑制的になっていくのだけど、ボク的にはこれくらいの音はいいんじゃないかな、って思う。

 アルバムの感じは、1960年代末のサーマンと(渡米前の)マクラフリンとのDawn盤に近い。ロックとフリー・ジャズの影響下での欧州でのジャズの一つの形だったのだと思う。

 ただリピダルのエフェクターが古さ、を感じさせる。A1の冒頭のギターの音が、なんか40年くらい前のTVの効果音みたいで、いただけない。そのあたりがなければ、結構、いいアルバムだと思うのだけど。その後のECMが失っていったジャズのダイナミクス、のようなものがタップリ詰まっている、と思う。

 ECMを聴きながらいつも思うことは、やはり、非ECMでの吹き込みと聴き比べ、アイヒャーの「操作」というものを知ってみたいな、という衝動。このメンバーで1969年のFlying Dutchmanの録音があるようなので、入手してみたい。youtubeでも聴けるのだけど、ECM的な音場とのミスマッチ感、のようなものはないので、直球で楽しめるような気がする。その意味で依然、過渡期のアルバムであると思う。

 


関連記事:

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[ECM1015] Jan Garbarek: Sart (1971)
A1. Sart (Jan Garbarek)
A2. Fountain Of Tears - Part I And II (Jan Garbarek)
B1. Song Of Space (Jan Garbarek)
B2. Close Enough For Jazz (Arild Andersen)
B3. Irr (Jan Garbarek)
B4. Lontano
Jan Garbarek(ts, ss, base-sax), Bobo Stenson(p), Terje Rypdal(g), Arild Andersen(b), Jon Christensen(ds)
Cover Design: B. & B. Wojirsch*
Photography of Back Cover: Björn A. Fossum
Engineer : Jan-Erik Kongshaug*
Producer: Manfred Eicher
Recorded on April 14 and 15, 1971, at the Arne Bendiksen Studio, Oslo.

ボクのはLC番号付きの後年プレス(全然かまわないが)