Kanazawa Jazz Days

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ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Ethnic Heritage Ensemble: Three Gentlemen From Chikago (1981) 始原的ミニマルのうえで


 先日、いっき氏のブログをみて、そのバンドの名前に鋭い、記憶の底から突き上げる既視感が沸いてきた。

 30年以上昔に、レコードを手にしたグループ。その後は全く知らなかったのだけど、演奏を続けている。衝撃だった。

 最近はレコードを抜き取ることもない、前衛ジャズの棚から1枚取り出した。Ethnic Heritage Ensemble、1981年のメルス・ジャズ・フェスティバルの出演者。レーベルはそのフェスティバルの出演者の記録。レコード自体はスタジオ録音。

 当時の雑誌に、最近亡くなられた副島さんが書かれたメルスの記事が楽しみだった。世界の先端を走るジャズ、を聴く疾走感、時間と同じ速さで音を追いかけるような感じで。

 このEthnic Heritage EnsembleはAACMのKahil El'Zabarが主宰する3人のアンサンブルのようだ。その後、メンバーは様々。

 A面/B面ともに民族音楽的な、過剰になりすぎない訥々としたimprovisation。Kahil El'Zabarが叩き出す、始原的ミニマルなリズムが、太古の人類が共有していた呪術的な空間をつくりだす。管楽器は時として咆哮すれど、平原の向こうで叫んでいる鳥の如く、である。繰り返される音、鼓動がとても単純で、複雑な愉悦を作り出す。

 A面/B面ともに2曲目は、もう少しフリー・ジャズ的ではあるのだけど、温度はとても低く、互いに音を紡いでいくような演奏。いずれもKahil El'Zabarがゆったりとした音の流れを作り出し、所謂フリー・ジャズと一線を画していて、とても聴きやすい。

 この当時、今にしたら信じられないのだけど、ECMも黒人前衛奏者に随分手を出していて、AEC、ボウイはまだ分かるが、リヴァース、更にはアダムスまで出たときはコケそうになった。彼らの吹き込みは、アイヒャーの残響のなかで漂白された感はあったのだけど、この演奏もかなり距離は近い。すっきりとした録音で聴くと、Kahil El'Zabarが持つ太古の音への憧憬が真っ直ぐ伝わり、こんな感じがいいなあ、と思うのである。

 未だに活動を続けている、ということに驚いて聴いてみたが、Kahil El'Zabarの力量の確かさ、も感じた。早速、マレイとのデュオを注文してしまった。

 最後に、タイトルのChikagoは誤植じゃなくて、そのまま。念のため。

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Ethnic Heritage Ensemble: Three Gentlemen From Chikago (1981, Moers Music)
   A1. The Seeker
   A2. A Serious Pun
   B1. Moving Of Seasons
   B2. Brother Malcolm
Kahil El'Zabar(perc,ds), 'Light' Henry Huff (reeds), Edward Wilkerson(reeds)