Kanazawa Jazz Days

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ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Fred Hersch And Julian Lage: Free Flying (2013) 久々のハーシュ


 何だか忙しい日々をくぐってきたのだけど、その間にいろいろなコンサートを聴いたり、音楽的な刺激は随分とあったのだけど、何だか文章にする、ということはできなかった。文章にする、という言語化・論理処理の行為のなかで、「今までのジャズ・これからのジャズ」という命題に対する定位のようなことがうまく考えられなくて、ということ。考えすぎることが多かった。

 だから古レコードに針を落としていれば、そんな雑念もなく、あの時代のジャズの濃さというものに酒精に頼らずとも酔うことができる。だから、結局の所、最近の録音や奏者への関心が、どうしても薄れてしまう。時間による研磨を受けたもの、との比較だから仕方がないのだけど。結局、なんか聴けば快感が保証されている世界に逃げ込んでいる、ような感覚もある。

 だから、それなりの数の最近のCDを未だに入手はしているのだけど、打率の低さ、は如何ともし難い。そんななかで、久々の長打。そんなこと、あんなことを軽々と撥ね除けるような、強靱な音楽に久々に出会った。

 ハーシュなのだから、ある水準以上というのは自明なのだけど、あの耽美的な音世界に食傷気味だったので、長い間手が出ていなかった。彼のソロをコットン・クラブで聴いたときに、もう十分堪能した、満腹な感じになっていたのだ。

 つらつらアマゾンを見ていると、ハーシュのギターとのデュオを見つけた。デュオというフォーマットが大好物なので手を出してみたが、思った以上に気持ちにすっと入る。ライヴの空気感もよくて、ハーシュ・フリーゼルのデュオよりも、気分的にはしっくりくる。

 ハーシュは耽美的、内省的な美音が魅力なのは間違いない。というと、ECMのリヴァーブの音がひとつの世界としてあるのだけど、ある種の画一化が気になっている。だから、このアルバムのように「からっとした米国録音固有の空気感」のなかで、さらっと流れる内省的なピアノの音って凄く新鮮に聴こえた。ギターの爽やかさ、も素晴らしい。久々に新譜(1年くらい経ったが)に痺れてしまった。

 ただ内省的であるだけでなく、緊張感と十分な速度をもって音を積み上げて行く様に、時折、溜息混じりの昂奮を感じる。高音のブロウが吹き上げている。そして気持のよい、しかし気の抜けない弛緩を挟み。

 ボクはJulian Lageって聴いたことがなかったのだけど、素晴らしい。早速、彼のアルバムも注文してしまった。こんな感じで、聴いて無条件に楽しいのは嬉しいなあ。ハーシュを暫くまた聴いてみよう。

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Fred Hersch And Julian Lage: Free Flying (2013, Palmetto)
   1.  Song without Words #4
   2.  Duet
   3.  Down Home
   4.  Heartland
   5.  Free Flying
   6.  Beatrice
   7.  Song Without Words #3: Tango
   8.  Stealthiness
   9.  Gravity’s Pull
 10.  Monk’s Dream
Fred Hersch(p), Julian Lage(g)