Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

浅川マキ:あの男が死んだら(1972,1981,1996)酩酊しながら

 その夜も酩酊していて、意識は断続的。とかく疲れているのだ。

 他の客も消え、ふっと聴こえてきた曲が「あの男(ヒト)が死んだら」。ボクが好きな曲なので、そこですこしだけ眼を覚ました。しかし、ボクが知っているその曲よりは少し軽く、声の陰翳が少し足りない。しかもキレの良いギターがリズムを切っている。酔っているのか(確かに酔ってはいるのだけど)、と思ったような記憶がある。店主がレコード・ジャケットを指さしながら、ほら後ろに居るのが南里文雄さん、と云うのを聴いて理由が分かった。1972年のアルバム「裏窓」がかかっていた。萩原信義のギターにのるヴォイスが軽く、若い声だ。

 

 ボクが何回も繰り返し聴いていたのは、1981年のアルバム「ふと或る夜、生き物みたいに歩いていたので、演奏者たちのOKをもらった」に収録された同曲。渋谷毅のピアノと川端民生のベースとの3人。どっしりとしたベースの上で、押し殺しても抑えきれない煌めきを漏らすピアノ、そのうえで少しだけ齢を重ねたヴォイスが流れる。ニヤっとするような感じで聴いていると、とても気持ちが良い。だから、この曲だけに針をおろすことが多い。数日前に、犀川奥の知人宅で大きなタンノイのスピーカで鳴らしたばかり。数日で違う演奏を聴くとは思わなくて、少し可笑しくなった。

 調べてみると浅川マキの最後から2番目のアルバム「こんな風に過ぎて行くなら」にも、この曲が収録されている。残念ながら、ボクは持っていない。気になってきた。

 

 さて、これは原曲は Irving Berlin(アーヴィング・バーリン)。ユダヤ系米人の作詞・作曲。東欧からの移民。19世紀末に、移民船から自由の女神を仰ぎ見た、映画のヒトコマのような経歴。この曲は1941年のもの。ユダヤ人、1941年、だから「あの男」は「あの男」だそうだ。知らなかった。

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あの男が死んだら
作詞 Irving Berlin, 日本語詞.浅川マキ
作曲 Irving Berlin

あの
あの男がもしも本当に死んだら
この世は天国
皆んながそう言うの
あの男が死んだら
夜明けの道には朝日が
なんて素敵な目覚め
あゝそんな気分
あの男が死んだら
皆んなは踊り狂い
誰もが抱き合いながら
ああ祝うのさ
あの男は悪魔だわ
憎しみをまき散らして行くよ
あの男は悪魔よ
悪魔はこの世に降りて来て
普通の人のような服装をして歩いてる
それは本当のことよ
まだ遅くはないわ
あの男を閉じ込めて
あの男を閉じ込めて
ある晴れた日の朝に
小さな口髭つけた
悪魔が芝生のそばで
永い眠りについた
そうよあの男を殺っつけろ
そうよあの男閉じ込めて
チャンスは今だ

WHEN THAT MAN IS DEAD AND GONE
(Irving Berlin)
Al Bowlly - 1941

When that man is dead and gone
When that man is dead and gone
We'll go dancing down the street
Kissing everyone we meet
When that man is dead and gone

What a day to wake up on
What a way to greet the dawn
Some fine day the news'll flash
Satan with a small moustache
Is asleep beneath the lawn
When that man is dead and gone

Satan, Satan, thought up a plan
Dressed as a man
Walking the earth and since he began
The world is hell for you and me
But what a heaven it will be

When that man is dead and gone
When that man is dead and gone
When they lay him twelve feet deep
I'll be there to laugh, not weep
When that man is dead and gone

What a day to wake up on
What a way to greet the dawn
Satan'll take him by the hand
To meet old Gerring, look what, man
When that man is dead and gone
When that man is dead and gone

Some fine day the news'll flash
Satan with a small moustache
Is asleep beneath the lawn
When that man is dead and gone

What a day to wake up on
What a way to greet the dawn
When a certain man is dead and gone