Kanazawa Jazz Days

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ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

渡辺貞夫: Paysages(1971)つい連鎖で書いた1970年頃の音

 toshiya氏monaka氏が渡辺貞男のSwiss airを取り上げていた、ので連鎖。この時代、CBSソニーの頃にはモーダルな感じ、更にはフリーに近づくような、やや混沌とし、かつ高い志を感じさせる録音が多いと思う。1970年代前半。ヴィトウスの頃の初期WRやマイルスの影を孕みながらも、単純なコピーではない、聴かせるものがある、と思う。

 だから、つい連鎖で書いた1970年頃の音、を紹介したいと思う。

 この時代の嚆矢はCorea/Vitous/Dejonetteを従えた(時折、リズム隊のほうが主に聴こえるが)Round Tripだと思うのだけど、ここではPaysages。Gary Peacockが日本に滞在していた頃の録音。East Wardとか銀界、ポエジーなど菊地雅章との豊かな録音のなかに位置づけられる一枚。見事に渡辺貞男の「生真面目」な音の追求と、明らかに当時最先端を走る一人であった菊地雅章の音世界が、がっちりと融合・結合している。そこにピーコックのベースの存在感はタダゴトではない。

 前述のようにリズムや音空間の造りは、当時のマイルス・WR的なものが下敷きなのだけど、その上に構築された世界は、まさに1970年代の日本のジャズの香気に満ちている。和楽器を入れり和旋律たような和風(武満のNovember stepは嫌い)なんかじゃなくて、日本人のジャズだとその空気で感じさせるような、オリジナリティに満ちたもの。やはり菊地の電気ピアノは素晴らしく、間合いの緩さとビートへの意思のせめぎ合いのような演奏は聴き手に心地よい緊張を与える。

 曲によって、かなり色合いが異なるものが集められていて、一曲目は美しいフルートからはじまり、富樫の打楽器が美しい。確かに富樫の後年のSong for myselfからSpiritual natureにつながる線がくっきり見える。素晴らしい。そのあと、太鼓がうるさくなって、菊地やピーコックのソロにに繋がる。菊地の電気ピアノはいいなあ。

 渡辺貞男のあのイメージで聴けるのB2。全体的に聴き手に緊張を与えるタイトなアルバムだけど、この曲でのアルトは心和む、確かにパーカー直系だよねって、やつ。

 それにしても、このアルバム(特に一曲目)はカモメのRTFに似ているのだけど、それより前だね。そう、今となっては、知られざる時代の先端に彼らは立っていたように思えてならない。youtubeにあったので、聴いて欲しい。

 

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渡辺貞夫: Paysages(1971, CBS Sony
 A1. Paysages
 A2. Out-land
 B1. Space Is not a place
 B2. Green air
 B3. Provincial
渡辺貞夫(as、fl、sn), 菊地雅章(p),  Gary Peacock(b), 富樫雅彦(perc), 村上寛(ds)