Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

David Liebman, Marc Copland: Bookends (2002) 昼に見る夢、夜半に見る現(1枚目)


 忙しい日々、が舞台の上の幕のように落ちた。そして、手応えのないような時間が飛来した。だから、硬質の時間に背中から突き上げられた痛み、も辛いが、捉え処の無いふにゃっとしたような軟質の時間に包まれる、ことも辛い。少し、放心気味で曲を探す。

 窓の外には雪がまだ降っている。それだけで、気持ちの冷たさと、それを眺める他の自分の暖かさ、のようなものを感じる。そんなときは、ただ美しく、そして少しだけ暖かい音が欲しいと思う。

  計算機の鍵盤から、画面に現れる曲をつぎつぎ再生してみる。そして、やって見つけたのが、このアルバム。2枚組み。1枚目は昼間のスタディオ、と題されている。もう1枚は夜のライヴ。

 1枚目は 昼に見る夢、のようなアルバム。午睡のなかにあるような甘く、現ではありえない、懐かしい感情が、オトとともに流れ出る不思議。大好きなピアノとサックスのデュオなのだけど、二人の音の交感のようなものに惹かれる訳ではない。ただ音そのものの美しさ、のようなものに惹かれている。完全に伝統的なジャズの語法のうえなのだけど、何故だろう。

 ボクはコープランドというピアノ奏者の来歴とか、その演奏について良く知らない。だけど、磨耗石器の表面のように、鈍く光る穂先を見るが如く響くピアノの音、の味は甘い。リーブマンも、かつてopen skyで見せたような空間に草書を綴るような音の連鎖、であることには変わりはないのだけど、そこに、ある種の甘さを湛えるような味付け、には驚いてしまった。

  だから少し実存感を失った時間のなかで羅針盤のように甘さを流し続ける音、に耽溺してしまう、 昼に見る夢、のようなものなのだ。

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David Liebman, Marc Copland: Bookends (2002, hatOLOGY)
CD1(Afternoon, Studio)
1. Bookends I (Marc Copland)
2. The Searcher (David Liebman)
3. Blackboard (Marc Copland)
4. Lester Leaps In (Lester Young)
5. When You're Smiling(Joe Goodwin, Larry Shay, Mark Fisher)
6. In Your Own Sweet Way (David Brubeck)
7. Nadir (David Liebman)
8. Bookends II (Marc Copland)
David Liebman(ss,ts), Marc Copland(p)