Kanazawa Jazz Days

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ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Babooshki: Vesna (2013) 今年最後のオト

 昨夜遅く、twitterを眺めていて、オラシオ氏(ポーランドジャズライター)の呟きで知ったアルバム。ポーランドからウクライナの音楽を素材にとった女性二人のヴォーカル主体のグループ。オラシオ氏のページ どうもCDはamazonなどでは入手できなくて、amazoniTunesからのDLになる。

 東欧(という地域概念はまだあるのかな?)の女性のヴォイスを使ったアルバムには、ときとして持っていかれることがある。もう随分前になるが、ジョージ・ムラツのアルバムで、モラヴィアの民謡を取り上げたとき、これも随分聴いた。パット・メセニー経由で知ったアナ・マリア・ヨペックのときもそう。とても透明度が高くそして低温の声の肌触りがよく、東方的な旋律とあいまり、内なるエキゾティズムをくすぐる。

 一昨年、イスタンブールで買ってきたTrio Tzaneのアルバムも、このような音の延長線上で大当たり。結局のところ、ブルガリアン・ヴォイスのような感じが好きなんだな、ってはっきり自覚した。このBabooshkiも、そのような音造り。ジャズ的な味もあるのだけど、ヴォイスが醸し出す東方的な匂い、の強さが圧倒している。

 いつだったか岩村忍の西域モノの本を読んだ。そのなかで教科書的な民族国家の地図が変容したような感覚がある。南ロシアから東欧地域は遊牧民が跳梁する中央アジアからの回廊として繋がっていて、スラヴ民族とトルコ系・モンゴル系民族が交差する地帯であったこと。中欧まで進出したアッティラフン族が西遷した匈奴であったり、ブルガル人が元来アジア系民族であったり、モンゴルのキプチャック(金帳)汗国の後裔が19世紀目前までクリミア半島に残存していたり。近世のオスマントルコによる東欧支配以前に、地域の古層としてのアジア的血脈がかなり強く流れている。そんなことを、このような音を聴いたときに強く思い出すのだ。

 今年最後のオト、として、このような素敵なアルバムと出会ったことに感謝したい。オラシオ氏に感謝致します。

 

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Babooshki: Vesna (2013, Multikulti )
    1. Dajcieze Mi Skrzypce Moje/ A Wze Vesna Vesnytsia
    2. Zali Moji, Zali
    3. Oj Letily Zurawli
    4. Oj, Spiwom Jo Se Spiwom/ Zenczyczok Brenczyczok
    5. Pozic Mamo Raz Komu Corke Dasz/ Vyszni - Czereszni Rozwyvajutsia
    6. Pochalo Na Vesnu Voskresaty
    7. Nie Uginaj Sie
    8. Jawor Nad Wodoju
    9. A Kiedy Ja Wyjde Zaspiewam Po Rosie
  10. Oj, Juz Wieczor
Karolina Beimcik(vo,vln), Dana Vynnytska(vo), Michał Tomaszczyk(tb, vo), Jan Smoczyński(p), Michał Jaros(b, vo), Dima Gorelik(g,vo), Bogusz Wekka(perc)