Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Herbert Henck:Mompou/Musica Callada(1995,ECM) 部屋の角で膝を抱えるような気分で

 ようやく春の気怠い空気が流れてきた。少しツンとするような冷ややかさと、流体の如くまとわりつく温みのなかに居るような感じ。櫻をみるならば、澄んだ大気のもとがいいのだろうが、ただぼんやりと春の感触を楽しむならば、霧雨に靄っているのも悪くない。それでも遠くに白山がみえたりするから面白い。

 ここ数日、夜明け頃に眼が醒める。そして、ぼんやりと聴いているのはHenckのモウポウ集:ひそやかなる音楽。カタルニアの作曲家なのだけど、外向的・エスニックな音ではない。内省的、と云われるようなオト。だからECMモンポウ集をみかけたら、即、注文いてしまった。

 やはり狙いとおりのオト。夢から覚めた後のような気だるさと、所在のないような心地のなかで、どこかで落としたオトをひとつ・ひとつ拾っていくような過去の追想。春なのに、部屋の角で膝を抱えるような気分、それが何となく心地よい。以前聴いたハフの演奏よりも、オトの温度が低いので、余計にそのように思える。

 霞のような濁った大気の向こうに櫻が咲き乱れている。そんな光景との距離感がとても良く、独りふわっと遊泳していくような春の曙に聴き続けている。

 

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Herbert Henck:Mompou/Musica Callada(1995,ECM)
   1. Musica Callada: Book 1
   2. Musica Callada: Book 2
   3. Musica Callada: Book 3
   4. Musica Callada: Book 4