Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

今、アルゼンチンの音が気になる:微温のラテン音楽の悦び(2)


 暫し時間が経ってしまったのだけど、前回に続いて最近聴いているアルゼンチン音楽の覚え書き。ラテン音楽という定義は曖昧なのだけど、広い意味ではラテン系言語の国々。だから南米に限らず、欧州の音楽も広範に含まれる。そこまで考えると、フランスやイタリアのジャズなんかも美味しいのだけど、同根の薫りがあるような気がしてならない。オトの温度感、微温のラテン音楽の悦び、のような。アルゼンチン音楽に限らず、ブラジル音楽もメーマリなんかの魅力はまさにそう。この3ヶ月ほど、そんな音楽のアルバムを集めているのだけど、そろそろ一服感が募ってきた。似たような音ばかりになってきたから。

6. Pedro Anzar  http://www.pedroaznar.com.ar/english/index-desktop.html

 1959年生まれだから、ボクと同世代。ジャズ奏者にはパット・メセニー・グループで魅力的な「声」の奏者として知られる。ナナ・ヴァスコンセロスの後任。First Circle, Still life(Talking), Letter from home, The road to youという、ECMからGeffinへ移り人気が頂点に達した時期。爽やかな声に魅了されたヒトは多いのではなかろうか。

 沢山のアルバムを持っている訳ではないのだけど、どれも多面的な曲を奏でていて、一貫性のようなものを感じない。どちらかと云うと、ポップスに近い、少しオトの温度を上げすぎた曲が多い。だから好みかというと、少し微妙か感じ。何曲に一曲はツボに入るのだけど惜しい。たまに魅せるあのオトの感触はとてもいいのだけど。

 持っているのは2枚でいずれもライヴ録音。Caja de Musica (1999)はボルヘス生誕100年記念ライヴとか。あとEn Vivo - Ateneo Agosto 2002(2002)。Caja de Musicaに収録されていたMercedes Sosaというフォルクローレの唄い手との共演がアップされていた。

 ルイス・アルベルト・スピネッタというアルゼンチン・ロックの重鎮(だそうです)へ捧げたコンサートのライヴAbremente: Homenaje A Luis Alberto Spinetta(2008)の最後の一曲に入っていて、スピネッタ本人と共演しているのだけど、これもとてもいい。

 もう少し聴いてみようと思うのだけど、当たり外れのなかを歩くような予感は十分。

7. Lilian Saba http://www.liliansaba.com.ar/

  ピアノ奏者。youtubeでカルロス・アギューレとの共演曲を見つけて知った。Malambo Libre (2003)というアルバムに入っている曲。このアルバムを通して聴くと、全体的に楽曲は整っていて聴かせるのだけど、やや個性が弱いかなあ、という感じ。美しい曲も多く、またオトの温度もぴったりなのだけど。アギューレとの共演曲がずば抜けている。これを聴いてアルバムを買ったので、ちょっと残念な印象になったのだけど、決して駄目ではないのだけど。これは、そのアギューレとの共演曲。

そのほかRaras Partituras 3 Folkloreというライヴ盤にも収録されていて、なかなかピアノ・ソロで聴かせている。

8.Nora Sarmoria http://www.norasarmoria.com.ar/indexin.html

 ピアノ奏者であり唄も歌うノラ・サルモリア。リリアン・サバを知ったとき、彼女とのデュオ・アルバム(未入手)から知った。日本ではサバよりは知られているようだ。アルゼンチンの矢野顕子という惹句や、パスコアールやジスモンチの系譜との表現も。凄いじゃないか、という訳で一枚入手。それがFenix Espiral (2010) 。弾ける音の奔放さにすっかり魅了された。個性の塊のような、弾けた音世界。ときとして激しいのだけど、微温を保つ感覚が素晴らしい。なかなか他のアルバム入手が難しそうなのだけど、アギューレとともに追いかけたい奏者になった。溢れ出るオトに実は少しメロメロ。

9. Shagrada Medraレーベルの奏者達

 カルロス・アギューレが主宰するレーベルShagrada Medraを探っいるところ。何枚か入手したのだけど、アギューレの美意識に通じる音世界は素晴らしい。ただ似たような音ばかり、と云えなくもなくて、少しブレーキがかかってきたトコロ。アタマを冷やさなきゃ。

(1)Javier Albin

 ハビエル・アルビンはピアノ奏者。彼のLas Mananas El Sol Nuestra Casa (2011)は入手したShagrada Medraレーベルのアルバムのなかではジャズに最も接近していて、温度感もぴったりで一番良かった。期待通り、透き通るような微温のラテン音楽を聴かせてくれる。気持ち良し。

(2)Coqui Ortiz

オルティスはギタリストで唄も歌う。素朴なフォルクローレ。En Grupo (2002)は綺麗な楽曲集なのだけど、ボクが聴きたい感じとは上手く方向があっていない感じ。悪くないのだけど。フォルクローレそのもので、汎世界的な音楽への高まりを感じないから。多分、気持ちにぴったりくることも時としてあるのだろうけど。アギューレやセバスチャン・マッキも入っている。Parece Pajaritio(2005)も同じような感じ。

(3)Luis Chavez Chavez

不思議な名前のギタリスト。チャベスが二つ入っている。Resonante(2011)はかなり気分に合う音楽。静謐なのだけど、単なる耽美野世界でもなくて、見てはいけない世界への扉をたたいているような感触。細部に表れる陰翳に惹かれる。