Kanazawa Jazz Days

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ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Bill Evans: Waltz for Debby (1961) 高分解能音源で聴いてみると

Bill Evans: Waltz for Debby (1961, Riverside)
   1. My Foolish Heart
   2. Waltz for Debby (take 2)
   3. Detour Ahead (take 2)
   4. My Romance (take 1)
   5. Some Other Time
   6. Milestones
   7. Porgy (I Loves You Porgy)
   8. Waltz for Debby (take 1)
   9. Detour Ahead (take 1)
  10. My Romance (take 2)
Bill Evans(p), Scott LaFaro(b), Paul Motian(ds)

 前回に続いて、高分解能音源の話。キース・ジャレットのケルン・コンサートを聴いていて、確かに音質は良くなっているのだけど、あまり感じるところがなかった。70年代ECMの音はLPレコードでの音の完成度がとても高くて、媒体を変えたときのイコライザ操作が必ずしも適切ではないのではないか、という疑念が生じた。

 という訳で、少し時間を遡って60年代初頭のRiversideの名盤、ビル・エヴァンスのWaltz for Debbyをダウンロードした。Village Vanguardでのライヴで、録音が良い印象はない。メンバーは、かのスコット・ラファロのベース。交通事故死したスコット・ラファロ生前の最後の演奏で名高い。そして今でも健在のポール。モチアン。

 スコット・ラファロのベース演奏が、かつてのタイム・キーパー的な役割から「対等に唄うようなインプロヴィゼーション」を担うようになった画期的なものだそうだ。ボクがはじめて聴いた79年頃には電気ベースでジャコ・パストリアスが同じような役割を担っていた時期でもあり、多くのベース奏者が魅力的な演奏を行っていた。だから、スコット・ラファロの演奏を聴くと素晴らしいのだけど、強い印象は無かった。61年当時の時代を共有していないから。知識としての存在。

 だからボクのなかでは「ジャズの教科書」の名盤であって、そんなに頻繁に聴いていない。80年頃には更にピアノ・トリオも進化していたからね。チック・コリアの初期のピアノ・トリオを聴くと、ビル・エヴァンスの60年頃の演奏はひと昔の演奏に過ぎなかった。ビル・エヴァンスの亡くなる前の演奏に惹かれたのは。もう少しあとのこと。それに、ポール・モチアンのブラッシ・ワークがボクの貧弱な装置では雑音に聴こえていた。

 この演奏もLPレコード(日本盤はまあまあ、米盤の音はあかん)、CD、そして今回の高分解能音源(96kHz、24bit)を持っている。比較してみると、やはり高分解能音源が一番良い。音が分厚い感じがする。LPレコード(日本盤)の音はやや薄い印象がある。何よりも高分解能音源で優れていたことは、ライヴなので臨場感の素晴らしさ。背後のグラスの音や話し声が実にリアル。あとベースの音の存在感が増したこと。木の共鳴体に弦を張った楽器を弾くその様子が伝わってくるような感じ。ただ、音楽として聴いた場合、ケルン・コンサートと同じで、まあ従来のLPやCDと同じ次元での比較論であり、異次元の体験ができた訳ではなかった。

 音源と関係ないのだけど、この演奏を聴いていて思ったことは、ヴィレッジ・ヴァンガードであんなに話し声やグラスの音が入ることに違和感を持ったこと。今のヴィレッジ・ヴァンガードは、演奏中はとても静か。時代と共に、雰囲気が大きく変わったのだろうか。