Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Miles Davis : 1969 Miles Festiva De Juan Pins (1969) ECMが周縁かどうかは別としてジャズの中心といえば

Miles Davis : 1969 Miles Festiva De Juan Pins (Columbia, 1969)
   1.Directions
   2.Miles Runs The Voodoo Down
   3.Milestones
   4.Footprints
   5.Round About Midnight
   6.It's About That Time
   7.Sanctuary/The Theme
Miles Davis(tp), Wayne Shorter(ss), Chick Corea(elp), Dave Holland(b), Jack DeJohnette(ds)

 ボクのジャズの入り口はキース・ジャレットのケルン・コンサート。通常語られるジャズの歴史のなかでは周縁的であり、突然変異あるいは孤立したイメエジは拭えない。ボクにとっては中心の音なのだけど。だから先日読んだ「ECMの真実」のなかで、レーベル設立40年にしてメジャーとして認知された旨の記述があったのだけど、違和感は拭えなかった。ジャズの中心を離れた周縁だからこその価値じゃないかと。

  あれまマイルスの好きな音盤のことを書こうと思ったのにECMのことを書いてしまった。昨日、ホイラーのGnu Highを聴いていて、リズム・セクションが電化マイルスバンドのある断面であることに気がついた。その流れで、ECMが周縁かどうかは別としてジャズの中心、マイルス・デイヴィスを久しぶりに聴いてみた。何となくブログで書く恥ずかしさもあって、殆ど取り上げていないのだけど、円盤にして150枚以上持っているのである。実は(比較的)熱心なファン。そのなかでも、面白さが満載の録音となると、白眉は、この1969年夏の欧州ツアーの録音ではなかろうか。それ以前(モード)と以後(フュージョン)のつなぎ目であり、双方の要素が渾然一体としているから。過渡期、とは言い切れない魅力的な演奏。

  マイルスが亡くなった1991年から数年後に、このCDは発売された。生前には発売されていない。Boot legで、この時期のツアーを聴いていなかったので、このCDで初めて聴いて驚いた。まったく従来のジャズの語法とは異なる、コリアのフェンダーに激しいデジョネットの打ち込みではじまる。緊張感が最初の数秒で沸騰点まで高まる。その後、弛緩することなく新旧の曲を取り混ぜ進行していく。驚くのは、1950年代の曲(Milestones, Round about Midnight)を取り上げていること。そして同時期に録音されたBitches Brewの曲を交えて演奏されていること。ショーターやマイルスのソロはプラッグド・ニッケルのライヴをさらにフリー寄りにしたような激しさを持っていて、Bitches Brewよりはるかに熱い。そして伝統的なクインテットのスタイルで演奏された最後の時期のライヴであること、などなど。興味と面白さが尽きない。 

 60年代後半から80年代はじめまで、ジャズに限らず音楽の変化は大きかったように思う。次々に変わっていく。今でも多くのアルバムはその年が刻印されていて、時制のなかで語ることができる。そして、この20年あまり、特にマイルスが死してから、時制で語ることがなくなったような気がする。気のせいではなくて。