Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Manhattanのジャズ・クラブを巡った夜(1):Blue NoteのKonitz/Frisell/Peacock/Baron


Blue note (the first set, 3rd June, 2011)
Lee Konitz(as), Bill Frisell(g), Gary Peacock(b),  Joey Baron(ds)
       Solar, Body and soul, ?, Oleo, All thngs you are


 ふと気がついたら、はじめて米国に来てからもう20年が経っている。驚いた。仕事を変えて、10年前のような年5〜6回の渡米はなくなった。ここのところは冬と夏の年2回のペース。あちこちをゆるりとまわっている。今回は14年ぶりのボルチモア。あまり楽しい街ではないのだけど。そうなのだけど、東海岸で仕事があるときは、予定をやり繰りしてニューヨークには行くことができる。そう3年ぶりのマンハッタン。ワクワクしてしまった。

 そんな訳で成田からJFK経由でアムトラックを使ってボルチモアへ行くという、なんとも非効率な楽しい旅程となった。同業だけどジャズ・ギター奏者でもある友人(昨冬には金澤に来て一緒に呑みまくった彼)も同行。楽しくない訳がない。

 勿論、マンハッタンには多くのジャズ・クラブがあって、新しい音の胎動があるに違いないのだけど、ボクみたいないい加減なリスナーは鼻が利かない。どんなクラブに行こうか、って考える間もなく、渡航の日がやってきてしまった。webでチェックすると、まあ一も二もなくBlue noteからVillage Vanguardへの梯子ジャズが殆どオートマチックに決まってしまった。ベタな成り行きなのだけど、納得の面子でしょう?

 という訳で、Blue noteのLee Konitz, Bill Frisell, Gary Peacock,  Joey Baronなのだけど、結論からすると良かった。まあ想像通りの音で、ECMからライヴアルバムどうぞって感じ。事実、ライヴ録音をやっていてBlue noteの前に大きな録音車が停まっていた。


 Bill Friesellは3年前にCambridgeで聴いて、やたらと浮遊音ばかりの世界に引きこもっていたので、軽い失望感を抱いている、ボクは。1980年代から1990年代までの陰影が強い、過激な音世界に痺れていたから。気がついたら隠者の音楽になっているんだよね、シアトルの。だから、期待40%諦め60%でセッションをとらえていて、 Bill Frisellがイニシアティブをとらないように祈っていた(ホント)。


 舞台に上がったLee Konitzは若かったなあ。84歳には見えなかった。元来、強くブロウする奏法でなく、細かく音をAccumulateさせていくような吹き方なので、しっかりと聴くことができた。白眉はGary Peacockのベース。あの重量感のあるベースがセッションに大きな芯を与えていて、ときとしてドライヴさせ、ときとして時を巻き戻したりしていた。それを全面に支えるJoey Baronの素晴らしいこと。ドラムの音があんなにカラフル、矛盾するのだけど美しいモノクロームの写真から香り立つ色彩感のような、ものだとは思わなかった。この二人が結果的に引っ張っていたように思う。だから一歩引いた Bill Frisellのバッキングもとても映えていて、よくKonitzを支えていたと思うよ、最後は。


 実は1曲目の Solarを聴いたときは、解体された原曲のアブストラクトをなぞるようなimprovisationの弛緩した空気にがっかりした。諦め60%の気持ちが当った感じだった。Frisellの浮遊音に強いストレスを感じてしまった。だけど二曲目Body and soul頭、Peacock渾身のプレイでKonitzの音密度も急速に上がって行く。そのスリリングな感じがたまらなくカッコいい。触発され、コンセントレーションしたときのFrisellはよかった。無駄のない、緊張感の漂うプレイが1時間強にわたって続いて、それなりに満足できるものだった。家に帰ってPeacockのEast Ward(菊池雅章, 村上 寛とやってるLP)が聴きたくなった。

  来週もまたニューヨークに戻ってくる。上原ひろみなのだけど、あまり気乗りはしないなあ。どうしようかな?それよりも驚いたのは、6月29日のセッション。何とジョン・ヘンドリックス90歳のお祝いセッション。まだ生きていたんだ(失礼)。共演はLHRで一緒だったアニー・ロス!聴きたい・聴きたい。Blue Noteの前に入ったレコード屋でLHRのエリントン集買ったばかりの偶然。こんな時って、ニューヨークで気ままな時間を過ごしたくなりますよね、数ヶ月いやせめて数週間。