Kanazawa Jazz Days

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ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

小林信彦:テレビの黄金時代(2002、文藝春秋)久々に熱中


昨日、シネモンド・bar quinasseの次にハシゴした竪町のオヨヨ書林で買った単行本。最近、小林信彦が気になるのだ。この古書店には澁澤龍彦のほか、小林信彦中野美代子の本が沢山あって、ボクのツボを押すのだ。

買った3冊のうちのひとつが小林信彦のテレビの黄金時代(2002、文藝春秋)。ボクが生まれ育った60年代のテレビ、同時代の空気そのもの、が詳しく書かれている。シャボン玉ホリデーからてなもんや三度笠がある日曜日の記憶、そのあと1970年のゲバゲバ90分。幼稚園前から小学校中学年のころまで。今と違ってテレビが大好きだった。小学校高学年の頃からテレビを見なくなった、何故だろうか?

結局、2日間でこの本を読み終えた。小林信彦の、ある意味でとても冷めた筆致・距離感がむしろ当時の熱気を鮮やかに描き出している。熱く語られる程、他人・読者は冷めるものである。いつだったか、渥美清横山やすしの評伝を読んで唸ってしまった。巧い。小林信彦は根っからの都会人だからなんだろうな、と思う。生まれ育ち。弟の小林泰彦のイラスト本をみてもそう思う。

それはさておき、シャボン玉ホリデーてなもんや三度笠、ゲバゲバ90分までは1961年から1970年あたり。ドリフターズの「8時だよ全員集合」が1969年開始(だそうだ、ボクには面白くなかったから見なかったけど)。テレビが我が家に来た時期は覚えていない。記憶、というもののはじめからテレビの映像がある。シャボン玉ホリデーてなもんや三度笠に加えウルトラQ。だから1966年頃と特定できる。すっかり忘れていたのだけど、出演者のことやコントやセットの記述に朧げな記憶が湧き出してくる。はっきりとした記憶があるのがゲバゲバ90分。コントの塊の全く取り留めのないアナーキーな番組。ボクはとても好きだったのだけど、あまりの馬鹿馬鹿しさに、母親から「試聴禁止」をくらってしまったが。そんなことまで思い出した。出演者は、大橋巨泉前田武彦小松方正宍戸錠常田富士男藤村俊二萩本欽一坂上二郎ハナ肇熊倉一雄朝丘雪路、松岡きっこ、小川知子岡崎友紀うつみみどり吉田日出子野川由美子宮本信子、沖山秀子、小山ルミ、キャロライン洋子ジュディ・オングなどなど。名前を眺めているだけで、高度成長末期・学生運動盛んなりし頃の空気を画面とともに想い出す。

そういえば映画上映中の「ノルウェイの森」も全くその時代設定なのだけど、小説を読んでもその匂いが少しもない。むしろボクらの時代、1980年頃の匂いがするのは何故だろうか。ふと思った。1970年頃って、子供にも分かるくらい弾けた時代だったように記憶している。

テレビの黄金時代(著者によると1962年から1972年)についての考察が面白い。1950年代はじめにテレビがはじまって、組織化・仕組化されない状態でエネルギーが10年後に炸裂。人間のカオス。1970年代以降は組織化がすすみ、エネルギーが失われていく様子...

ボクの前職、メーカでのヒット製品の世界とも似ていて面白い。ビジネスが成長期から成熟期にうつるとき、組織化・仕組化が進み、始原的なエネルギーを失っていく。業界の旨みがなくなるのだから仕方がないけど。

そんなことをつらつら考えながら、ページを閉じた。