Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Miles Davis: 1991年のParis Concert 時間の流速が止まってしまったこの瞬間

Miles Davis: Black Devil (1991,Bootleg)

(Disc 1)
1.Perfect Way, 2.Star People,3.Human Nature,4.All Blues, 5.In A Silent Way, 6.It's About That Time, 7.Katia
(Disc 2)
1.Dig, 2.Watermelon Man, 3.Penetration, 4.Wrinkle, 5.Footprints, 6.Jean-Pierre
Miles Davis(tp,key) Steve Grossman(as) Bill Evance(sop) Chick Corea(p) Al Foster(dr) Wayne Shorter(sop) Joe Zawinul(key) Kenny Garrett(as) John McLaughlin(g) Darryl Jones(b) Jackie McLean(as) Joe "Foley" McCreary(g) Deron Johnson(key) Dave Holland(b) Richard Patterson(b) Ricky Wellman(dr) John Scofield(g) Herbie Hancock(key)

Reciorded Live at La Grande Halle,La Viette,Paris,France 10th July 1991

未だ正規盤は発売されていない。この海賊盤CDは最近多いSound Board音源流出モノではなくて,会場録音。だから会場のざわめきが入るが、臨場感を高める程度。かなり音質は良く、ある意味で正規録音より楽しめるような気がする。

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ジャズを聴きはじめたのが1979年。その頃のジャズは進化論のなかにあって、あらたな脳内快感を求めて変貌し続けていた。ただ、その進化モデルの主がマイルスであって、肝心のマイルスが1976年はじめからの長い沈黙のなかであった。音楽ジャーナリズムは代役としてのHerbie HancockやWeather Reportを追っていた。そんな時代。

だから1981年(だったか)、The Man with the Hornとともに再登場し、Bostonの今はなきKIXでのライヴのニュースにどきどきしたりしたことが懐かしい。過激なファンクからポップな路線に切り替えたマイルスだったのだけど、1980年代を通じて一作一作を楽しみにしていたのが懐かしい。復帰後初の元気がなかった日本ツアーにも出かけたし、その後のよみうりランドも出かけたし、懐かしい。

復帰後のマイルスの在り方が1975年までの究極的なファンク追求と比較して,随分軽くなった印象がある。今にして考えると、ジャズ進化論を自ら幕を引いて、エンターテイメントであるという原点に戻っていったような気がする。だからよみうりランドでの演奏もとても楽しいものだった。そして1991年。唐突な死。ボクのなかでの音楽を聴く時間の流速が止まってしまったこの瞬間、がやってきた。この時を境に、時間軸上の記憶配置が止まった。時間との相関性を失った。

ジャズを聴いている30年のながで、時間という観点ではマイルスが生きていた10年の長さはとても長い。その後の20年は時間とともに進む感覚を毀損して、とても短く感じる。年があけて、あの年から20年と意識して、驚いてしまった。

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この1991年もマイルスの動きには驚く。スタジオではラッパーEasy Mo BeeのプロデュースでDoo-Bopを吹き込む。死後、Doo-BopとそのRe-mixバージョンのthe Doo-Bop song EPが出るのだけど、最後の正規録音として素晴らしいもので、Rapと素敵な溶けこみがなされている。進化論を最後まで続けていた。そして、もっと続けて欲しかった、と思った。

Doo-Bop(発売は1992年)     the Doo-Bop song EP

一方、ライヴでは7月にモントルーQuincy JonesとのGil Evans回顧セッションをやって、1940年代のBirth of Cool以来のGilとの曲目を吹いて、ボクたちを驚かせた。回顧モノは唯一回もやっていなかったのに。とても奇妙な感じがした。マイルスが振り返った!

Miles Davis, Quincy Jones and Gil Evans Orchestra: Live at Montreux(1991)

ギルエヴァンスの逝去後なので、バンドは息子のMiles Evansが編成している。

 

そして同月にパリに移動して行った回顧セッションはとても豪華で、1950年代から1991年までのマイルスとその周辺の音楽を当時の中心奏者と演奏している。Jackie McLeanとのDIGや、Joe ZawinulとのIn A Silent Way、John McLaughlinとのIt's About That Time。驚きはマイルス初演のWatermelon Man、作曲者Herbie Hancockと演っているなんて信じられない。内容的にもDIGですら古く聴こえないし、1991年まで、フォーマットは進化し続けているが、マイルスはマイルスそのものであることに驚いてしまう。

このパリコンサートは当時WOWOWで放送され、その海賊版ヴィデオが流通していたし、前述の海賊盤CD”Black Devil ”で全貌が知ることができて、ほんとうに良かった。権利関係が難しいのか、未だに正規版は出ていないのだけど。幸い(といべきか複雑だけど)、WOWOWでの放映ヴィデオがyoutubeにアップされているので、この模様を気軽に見ることができる。凄い時代だ。

Penetration         :

Watermelon Man /Dig :

Human Nature: 

Jean-Pierre         :


音のみのフル・バージョン


この後、若干のコンサートを行って、マイルスは突然あの世に。それからの20年って、ホントウに早く過ぎていった。だからイロイロ聴きたい気持ちが募るこの頃なのだ。