Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

金沢・竪町「オヨヨ書林」 田村隆一「半七捕物帖を歩く」の単行本を入手した


先日,21時過ぎに竪町を通るとまだ「オヨヨ書林」の灯がついていた.入れ物はキレイなんだけど,なんとなく華がなくて,人通りの少ない夜の竪町なんだけど,ここからはオーラというか本の妖気が流れてくるのだ.もう仕舞いの時間のようで灯を落としはじめていたのだけど,覗き込むと中に入れてくださって,暫し年輪を刻んだ素敵な本のなかで時間を過ごすことができた.金沢に引越てきて半年を超えたのだけど,こういうトコロがある,こういうコトがあると,知らなかった街がとても近しい感じになるので嬉しい.ボクが来てから暫しあとに,この古本屋さんが都内から移ってきて良かったなあ.(移転癖があるお店,とどっかで読んだ気がするのだけど)

ここに来ると何かしら気になっている本があって,何冊か手にして帰宅する.ここのところ,文庫本で持っている本を単行本で再入手している.
川本三郎「大正幻影」(1990)新潮社     (筑摩文庫)
田村隆一「半七捕物帖を歩く」(1980)双葉社 (朝日文庫
あまり意識をしていないが,ともにある時代(幕末,大正)を切り口にした東京案内.実際の東京は神保町界隈しか歩かないのだけど,こんな本と時間を過ごすと時間や場所をゆったり跨ぎながら観念のなかにしかない東京歩きを愉しめる(林芙美子の放浪記なんかも大正期から昭和初期の東京の空気が面白かった).



田村隆一の「半七捕物帖を歩く」はとても楽しい本で随分読んだ.大正の頃に岡本綺堂が哀惜をこめて半七老に語らせた「江戸」の話を,シニカルな詩人が昭和の御代に語るのである.書かれた時点で3つの時間が串刺しになっている.ボクが読んだのは1991年の朝日文庫.まだまだ昭和の余韻,バブルの頃.改めて単行本を手にして今から読むと,平成の御代から改めて読み直すことになるので楽しみだ.単行本には写真が沢山入っていて,街角から少し浮き上がるように田村隆一さんが写っている.この方が亡くなって久しい.ボクが大船に住んでいた頃には田村隆一さんは材木座.ウラヤマ(鎌倉アルプスという俗称に吹き出す)を歩く度に,このヒトとすれ違わないかなと思っていたことを想いだした.懐かしい.先日,大船で見かけて買った鎌倉春秋社刊の「小鳥が笑った」(1981年,池田満寿夫の装丁が洒脱)といい,なんか田村隆一さんの本に呼ばれているようで嬉しい.

あとは吉行エイスケ作品集I 地図に出てくる男女(冬樹社,1977年).これも似たような文庫本が集英社から出ていた.昭和初期のデガダンってこれね,という内容.上海モノの掌編が多いので,面白そう.

15分くらいオヨヨ書林にいたのだけど,書棚のうえしたを眺めながら随分と奥行きのある時間を過ごした.新竪町に向かってお店を後にしたのだけど,背中から灯が消えていく感じがして,気持ちよい.大気も甘い6月だし.

閉店時間間際(過ぎ?)に飛び込んで,すみませんでした.オヨヨ書林さん,ありがとう.つぎは植草甚一を持って帰りますね.

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PS.
これを書きながら聴いているのは,Keith Jarrett  "The Melody At Night, With You"(1999,ECM). Jasmine(2010,ECM)の違和感はコレを聴いていないから,ということで慌てて届けてもらったもの.記憶を辿りながら書きながら聴いていると,とてもとても幸せな気持ちになった.だから音楽聴くのはやめられない.