Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

ECM1000番台

(ECM1085) Keith Jarrett: The Survivors' Suite (1976) 存在したことがない音への強烈な喪失感

抑制的な演奏が実に美しい。いや、それはキースだけでなく、ヘイデンもモチアンもレッドマンも。譜面に書かれている(に違いない)旋律を辿るだけで、咆吼しない。その強い抑制が、溜息が出るような美しさを誘っている。キワモノすれすれになりがちな、キー…

(ECM1084) Eberhard Weber: The Following Morning (1976) どう聴いても彼の音楽

時間とともに変容する奏者、そうでない奏者がいる。エバーハルト・ヴェーバーは決定的に後者で、どう聴いても彼の音楽である、という印象は決してエフェクタを通したエレクトリック・アコウスティック・ベースの音色、だけによるものではない。 むしろ作曲行…

(ECM1083) Terje Rypdal: After The Rain (1976) 「あの奇妙な味」の世界を静謐に語り続ける

最近、強く思うことは、ジャズがジャズであるその大切な要因は、「奇妙な・違和感のある味」を感じさせることではないだろうか。決して即興とか、グルーヴでも、スウィングではない。フリー・ジャズも口当たり良く、スムースになったハード・バップへのアン…

(ECM1082) Arild Andersen: Shimri (1976) かつての欧州ジャズの脆弱性

アンデルセンの前作のときもそうなのだけど、聴いたときの印象を書くことができなくて、このシリーズ(ECMのレコードを聴く)が滞っている。今回も同じ。一月以上、なんか書く気が起こらなかった。 なぜだろう。確かに美しい音楽なのだけど、それ以上のもので…

(ECM1081) Art Lande: Rubisa Patrol (1976) ありもしない国の民族音楽のような

アート・ランデのECM2作目。今回、聴き直すと、案外、ランデのピアノが奥に引き気味で、マーク・イスハムのトランペット、・ダグラスのベース/フルートが前面に出ていることに気がついた。作曲もマーク・イスハムとシェア。かつてのPMGに近い雰囲気を感じる…

(ECM1080) John Abercrombie, Ralph Towner: Sargasso Sea (1976) 40年前には

ジョン・アバークロンビーとラルフ・タウナーのデュオSargasso Sea。印画紙のようなつるっとしたジャケットの感触が懐かしい70年代のECMのアルバム。北欧のスタジオで繰り広げられた透明度の高い、そしてひんやりとした大気のなかでの対話が濃密に広がる。

(ECM1079) Jack DeJohnette: Pictures (1976) ドラムと打楽器の間を漂いながらも

ジャック・デジョネットのソロ、の性格を持ったアルバム。自身のピアノやオルガンとの多重録音もあるし 、クロンビーが加わったトラックもあるが、デジョネットのドラムを中心に据えて、その魅力、ビートの鋭さ、打音の美しさ、を伝えている。 欧州の奏者は…

(ECM1078) Enrico Rava: The Plot (1976) 管の響きが与える陰翳

前作「The pilgrim and the stars」の1年後の吹き込み。またメンバーも同じ。続編、と云って良い。 だから、アルバムの印象も実に似通っている。続編。ラヴァの魅力は、管の響きが与える陰翳、だと思う。前作は、その暗い響きがクロンビー達が奏でる1970年…

(ECM1077) Edward Vesala: Nan Madol (1974) エキゾチックで不思議な音空間

ECMを聴く安心感、はアイヒャーの音世界がある種の予定調和のなかにあって、様々なジャズ周縁の音の断面を見せてくれて、新鮮な驚きを与えてくれる確信、から来ることは間違いない。1970年代から80年代、リアルタイムに感じたECMはそんな感じで、今、それを…

(ECM1076) Barre Phillips: Mountainscapes (1976) 折り重なる音の色彩

折り重なる音の色彩は、北欧から英国にかけての冬の空、のよう。重く広がる雲、希に切れ目から見える暗い蒼。 そんな土地で生まれた音楽なんだろうな、と思う。バーレ・フィリップスは長い間、欧州の奏者だと思っていたのだけど、カルフォルニア生まれ。キャ…

(ECM1075) Jan Garbarek, Bobo Stenson Quartet: Dansere (1975) ブロウは影を潜め

久しぶりのECMのレコード聴き。今は、ブログ移転に伴う過去記事の修正に時間をとられている。 このアルバムジャケットをよく見ると、Jan Garbarek Bobo Stenson Quartetの双頭カルテット。作曲・編曲はガルバレクなので、実質的にはガルバレクのアルバムなの…

(ECM1003) Paul Bley With Gary Peacock (1963, 1968) 録音はよくないECMサウンドの源流

Just Musicのあとに聴くと、正直ほっとする。まさにECMサウンドの源流。例のジミー・ジェフリー3に参加していたのがブレイとスワローだから、当然といえば当然。なかなかゲテモノ感がある最初期のECMなのだけど、これが中心のストライク、だろう。

(ECM1074) Jack DeJohnette: Untitled (1976) 当時のデジョネットの凄さと同時に

このジャック・デジョネットのECMでの、彼のグループとしての初アルバムは、そんなデジョネットの特性が詰まった玉手箱のようなアルバム。インド音楽風からフリー風まで様々なスタイル、リズムを取り上げている。それらが無理なく、デジョネットの多面性とし…

(ECM1073) Pat Metheny: Bright Size Life (1975) 伸びやかに音を繰り出すジャコ

これがPat Methenyの実質的なデビュー作。ギタートリオのシンプルな構成ながら、従来のジャズ・ギターに収まらない味を出している。バートンのジャズ・ロックやフォーク的な味をもっと洗練し、ジャズのフォーマットに織り込んでいるような感じ。 改めて聴い…

(ECM 1072) Gary Burton: Dreams So Real - Music Of Carla Bley (1975) 今の音、昔の音

今の音、昔の音が入り乱れたアルバム。全体的にはその後のパット・メセニー・グループやバートン自身のアルバムの音の比率が高い。1960年代を引きずるジャズ・ロック的は味は、大分減ってきた。彼らがすすめていたジャズ・ロックを今聴くと、ちょっと耐えら…

(ECM1071) Tomasz Stanko: Balladyna (1975) 何とも生彩を欠いた

何とも生彩を欠いた、Free Jazz。躍動がある訳でも、音空間が構築される訳でも、ない。 ホランドのベースを核に、点描のように管の音が加えられるが、印象が薄い。 このアルバムはそんなに珍しいものでもない、と思うが、存外にDU店頭で高価だった記憶がある…

(ECM1070) Keith Jarrett: Arbour Zena (1975) 今になって聴くと

1979年か1980年に購入して1度聴いて、それっきり。まともに対峙していない。キースの「色物」のような扱いで放置していた。当時は、ストリングスも苦手で、さらにジャズの匂いの強いものを求めていったから。最後にはキースのアルバムそのものを聴かなくな…

(ECM1069) Kenny Wheeler: Gnu High (1975) ECMの芯のような

ボクが感じる、ECMの芯のような、そんなアルバムではなかろうか。それも1970年代の。そして次第に希薄になっていくように感じる米国のジャズの匂い。キースのトリオや、モチアン、ブレイ、キューン、そんな米国の奏者達がECMに活躍の場を得て、ある種の「抑…

(ECM1067/68) Terje Rypdal: Odyssey (1975)冬の記憶と重なる現代のオデュッセイア

2000年頃に村井さんの本を読んではじめて聴き、ジャズと知覚する範囲が一気に広がる面白さを体験した、懐かしいアルバム。この音をジャズと定義できるのならば、ジャズはフォルムでなく思想である、と何となく言い切れるようにも思ったりしている。

(ECM1066) Eberhard Weber: Yellow Fields (1975) ささやかな疑問

ささやかな疑問、がある。1979年にジャズを聴きはじめた頃にこのアルバムを聴いて、今のように楽しめただろうか。 残念ながら、そのように思えなくなっている。今、のボクが楽しめているような感覚がある。 このアルバムを聴いていると、1975年から1976年当…

(ECM1064/65) Keith Jarrett: The Koeln Concert (1975) ボクの1枚目のジャズアルバム

1975年に発売され、(多分)広くECMを知らしめた、アルバムじゃないだろうか。ボクがこのアルバムを知ったのは、ラジオとかコマーシャルで流れて、高校生の頃、惹き付けられたから。購入は1979年。今まで何回も書き綴ったので、クロニカル的なメモだけをアッ…

(ECM1063) Enrico Rava: The Pilgrim And The Stars (1975) ECMの頂点にたどり着いたような

ボクはECMの頂点にたどり着いたような感覚のなかにある。ECM1060あたりから後のアルバムには、迷いなく惹き寄せられる力が漲っている。素晴らしい。たぶん、また上がったり、下がったりしながら、進んでいくのだろうが、大きな稜線に飛び出したような感覚の…

(ECM1060) Ralph Towner: Solstice (1974) 1年経って聴き直し

1年経って聴き直したが、印象は変わっていない。 ECM1061、ECM1062の前哨戦になっている、ことがわかった。メンバーはヴェーバーやクリステンセンだけど、ECMらしいビートの在り方、が冒頭からキマっていて、ECM1061、ECM1062への太いつながりを感じた。---…

(ECM1062) Collin Walcott: Cloud Dance (1975) 観念的過ぎない、素晴らしい浮遊感

ECM1061に続いて、いいアルバムだなあ。すっと音がはいってくるアルバム、そうでないアルバム、すっと音がはいってくる時、そうでない時。音の出口と入口の微妙な「噛み合わせ」。それが難なく通過して、体幹を音が貫く感じ、が幸せだと思う。 多分、ECM1061…

(ECM1061) John Abercrombie, Dave Holland, Jack DeJohnette: Gateway (1975) 1970年代後半のECMの魅力

アバークロンビーの前作Timelessから1年経たず、で録音されたアルバム。ヤン・ハマーのオルガンに換え、デイヴ・ホランドのベース。creditを見るとわかるが、ホランドの曲が中心。聴いてみても、ホランドが与える切れ味の良いロック的なビート、フリージャズ…

(ECM1059) Arild Andersen: Clouds In My Head (1975)ジャズで味付けをした欧州の音、のような感覚

久しぶりにECMに還ってきた。かなり菊地さんにハマっているから、少し手薄。また仕事が年度末で多忙、また移動が多く、LPレコード聴きはなかなか進まない、のだ。 1975年までコマが進んだ。もう安定したECM。録音もECMそのものなのだけど、今と比べると残響…

(ECM1058) Steve Kuhn: Ecstasy (1974) ピアノ職人の技

ECMの実りある1974年の録音も終盤になってきた。前作のTranceと同時期の録音。ただし、Tranceは米国録音、こちらはオスロ。やはり、音はこちらのほうが遙かに美しい。 アルバムのタイトルが Ecstasy。前作のTranceといい、日本の某レーベルのエロ・ジャケッ…

(ECM1057) Bill Connors:Theme To The Gaurdian (1974) タウナー的音を狙うのだけど

久々にECMのレコードを取り出して聴きはじめた。ECM聴きで触発された感覚のままに、いろいろ聴いて歩くような狩猟採集民、のような彷徨の日々、だと思う。 1974年前半に米国で収録されたものが、ジャズに振り込んだ作品群ならば、1974年に欧州で収録されたも…

(ECM1056)Ralph Towner, Gary Burton: Matchbook (1974) 時間が伸びやかに広がる感覚

針を下ろした瞬間に惹き込まれた。強い力。それは音、ではない。針の先が捉えたスタディオの空気。張り詰めていて、そして静寂。タウナーの作り出す音は、間違いなくECMの音場そのもの。ここ数作、米国録音の米国奏者を聴き続け、違和感が拭えない部分があっ…

(ECM1055) Gary Burton, Steve Swallow: Hotel Hello(1974) 夢想、のようなものを喚起するような

ボクは何処にも行けるし、何処にも行っていない。そんな独白を誘う。ジャケットの強い印象は、音をまた違う心象に連れて行く。 大学の英語の授業で読んだアーサー・ミラーの随想、ニュー・イングランドへの強いノスタルジイを淡い写真とともに。消え去ろうと…