Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

ECM: Martin Wieland

(ECM1085) Keith Jarrett: The Survivors' Suite (1976) 存在したことがない音への強烈な喪失感

抑制的な演奏が実に美しい。いや、それはキースだけでなく、ヘイデンもモチアンもレッドマンも。譜面に書かれている(に違いない)旋律を辿るだけで、咆吼しない。その強い抑制が、溜息が出るような美しさを誘っている。キワモノすれすれになりがちな、キー…

(ECM1076) Barre Phillips: Mountainscapes (1976) 折り重なる音の色彩

折り重なる音の色彩は、北欧から英国にかけての冬の空、のよう。重く広がる雲、希に切れ目から見える暗い蒼。 そんな土地で生まれた音楽なんだろうな、と思う。バーレ・フィリップスは長い間、欧州の奏者だと思っていたのだけど、カルフォルニア生まれ。キャ…

(ECM1073) Pat Metheny: Bright Size Life (1975) 伸びやかに音を繰り出すジャコ

これがPat Methenyの実質的なデビュー作。ギタートリオのシンプルな構成ながら、従来のジャズ・ギターに収まらない味を出している。バートンのジャズ・ロックやフォーク的な味をもっと洗練し、ジャズのフォーマットに織り込んでいるような感じ。 改めて聴い…

(ECM 1072) Gary Burton: Dreams So Real - Music Of Carla Bley (1975) 今の音、昔の音

今の音、昔の音が入り乱れたアルバム。全体的にはその後のパット・メセニー・グループやバートン自身のアルバムの音の比率が高い。1960年代を引きずるジャズ・ロック的は味は、大分減ってきた。彼らがすすめていたジャズ・ロックを今聴くと、ちょっと耐えら…

(ECM1071) Tomasz Stanko: Balladyna (1975) 何とも生彩を欠いた

何とも生彩を欠いた、Free Jazz。躍動がある訳でも、音空間が構築される訳でも、ない。 ホランドのベースを核に、点描のように管の音が加えられるが、印象が薄い。 このアルバムはそんなに珍しいものでもない、と思うが、存外にDU店頭で高価だった記憶がある…

(ECM1070) Keith Jarrett: Arbour Zena (1975) 今になって聴くと

1979年か1980年に購入して1度聴いて、それっきり。まともに対峙していない。キースの「色物」のような扱いで放置していた。当時は、ストリングスも苦手で、さらにジャズの匂いの強いものを求めていったから。最後にはキースのアルバムそのものを聴かなくな…

(ECM1069) Kenny Wheeler: Gnu High (1975) ECMの芯のような

ボクが感じる、ECMの芯のような、そんなアルバムではなかろうか。それも1970年代の。そして次第に希薄になっていくように感じる米国のジャズの匂い。キースのトリオや、モチアン、ブレイ、キューン、そんな米国の奏者達がECMに活躍の場を得て、ある種の「抑…

(ECM1066) Eberhard Weber: Yellow Fields (1975) ささやかな疑問

ささやかな疑問、がある。1979年にジャズを聴きはじめた頃にこのアルバムを聴いて、今のように楽しめただろうか。 残念ながら、そのように思えなくなっている。今、のボクが楽しめているような感覚がある。 このアルバムを聴いていると、1975年から1976年当…

(ECM1064/65) Keith Jarrett: The Koeln Concert (1975) ボクの1枚目のジャズアルバム

1975年に発売され、(多分)広くECMを知らしめた、アルバムじゃないだろうか。ボクがこのアルバムを知ったのは、ラジオとかコマーシャルで流れて、高校生の頃、惹き付けられたから。購入は1979年。今まで何回も書き綴ったので、クロニカル的なメモだけをアッ…

(ECM1063) Enrico Rava: The Pilgrim And The Stars (1975) ECMの頂点にたどり着いたような

ボクはECMの頂点にたどり着いたような感覚のなかにある。ECM1060あたりから後のアルバムには、迷いなく惹き寄せられる力が漲っている。素晴らしい。たぶん、また上がったり、下がったりしながら、進んでいくのだろうが、大きな稜線に飛び出したような感覚の…

(ECM1062) Collin Walcott: Cloud Dance (1975) 観念的過ぎない、素晴らしい浮遊感

ECM1061に続いて、いいアルバムだなあ。すっと音がはいってくるアルバム、そうでないアルバム、すっと音がはいってくる時、そうでない時。音の出口と入口の微妙な「噛み合わせ」。それが難なく通過して、体幹を音が貫く感じ、が幸せだと思う。 多分、ECM1061…

(ECM1061) John Abercrombie, Dave Holland, Jack DeJohnette: Gateway (1975) 1970年代後半のECMの魅力

アバークロンビーの前作Timelessから1年経たず、で録音されたアルバム。ヤン・ハマーのオルガンに換え、デイヴ・ホランドのベース。creditを見るとわかるが、ホランドの曲が中心。聴いてみても、ホランドが与える切れ味の良いロック的なビート、フリージャズ…

(ECM1056)Ralph Towner, Gary Burton: Matchbook (1974) 時間が伸びやかに広がる感覚

針を下ろした瞬間に惹き込まれた。強い力。それは音、ではない。針の先が捉えたスタディオの空気。張り詰めていて、そして静寂。タウナーの作り出す音は、間違いなくECMの音場そのもの。ここ数作、米国録音の米国奏者を聴き続け、違和感が拭えない部分があっ…

(ECM1055) Gary Burton, Steve Swallow: Hotel Hello(1974) 夢想、のようなものを喚起するような

ボクは何処にも行けるし、何処にも行っていない。そんな独白を誘う。ジャケットの強い印象は、音をまた違う心象に連れて行く。 大学の英語の授業で読んだアーサー・ミラーの随想、ニュー・イングランドへの強いノスタルジイを淡い写真とともに。消え去ろうと…

(ECM1053) Michael Naura: Vanessa (1974) アイヒャーではないECM

一切、アイヒャーのcreditがないECM。初期のテープ買いはともかく、本格的に立ち上がった後では、はじめてのアイヒャーではないECM。producerはリーダのナオラ。録音日時や録音技師のcreditもなく、REMIXはおなじみMartin Wieland。だから音としては、しっか…

(ECM1051) The Gary Burton Quintet with Eberhard Weber : Ring (1974) 知っているECMの空気の中へ

1974年の7月後半、西独での録音。 キース、ガルバレクと2枚吹き込んだ後、6月から7月にかけて米国で3枚、そして西独。巷では、ハンコックやマイルスのファンクが唸りを上げていた頃。そんななかで吹き込まれた、このアルバムが缶詰のように保っている空…

(ECM1049) Keith Jarrett /Jan Garbarek: Luminessence (1974) ガルバレクのwith strings

1974年の5月から6月のニューヨーク録音シリーズの前に吹き込まれたアルバム。キースは作曲だけで、ピアノを弾いていないので注意! 喰わず嫌い。どうもキース関連の創作音楽っぽいのは苦手。フォークもどき、クラシックもどきのようで、うーんと首を傾げて…

(ECM1048) Paul Motian: Tribute (1974) もっとオーネットが知りたくなってきた

1974年春のアイヒャーの米国録音シリーズ。リーブマン、クロンビーに続く3枚目。やはり音はECMらしく仕上がっている。内容も3枚のなかで、最もECM的。モチアンもヘイデンも、内省的な演奏だし、ビートよりも浮遊するような音、を指向する点でも。 ECMでの…

(ECM1045) Terje Rypdal: Whenever I Seem To Be Far Away (1974) 北欧の空気感

リピダルを強く意識したのは、村井康司さんのディスク紹介本。いい本だった。オデッセイを聴いてから、この奇妙で、北欧の冷たい(むしろ凍った)大気のなかで響くロック的なギターと、倦怠感を醸し出すトロンボーン。強い独自性と奇妙な快感を与えるビート…

(ECM1042) Eberhard Weber: The Colours Of Chloe (1973) 本当にいいアルバムだなあ

渓流へ入る季節が終わった瞬間から、音聴きに集中できる。現金なものだ。我ながら呆れ、驚いている。 そんな訳で、長く中断していた「ECMのレコード盤連番聴き」が復活している。昨日アップしたガルバレクのアルバムの記事で、「欧州奏者としての独自の音を…

(ECM1039) Dave Liebman: Lookout Farm (1973) ECMを聴いている感じがしない、という意味で不思議な一枚

今朝は音響装置が綺麗になっているので、ECMレコードをターン・テーブルに。 当時、マイルス・デイヴィスのバンドで吹いていたリーブマンのECMでの吹き込み。リーブマンの音ってECMにしては、やや熱めで、バンド自体も躍動するリズム(特にB面)が全面に出て…

(ECM 1040) Gary Burton: Seven Songs For Quartet And Chamber Orchestra(1973) バートンの味

ECMのシリーズのなかで、はじめてのジャズ・コンボとオーケストラの共演。1970年代のこの手の演奏は案外苦手で、アレンジャーによっては受け付けない。その代表格はセベスキーで、CTIが臭く感じることが多いのは、そのためだ。クラウス・オーガマンは大丈夫…

(ECM 1035-37) Keith Jarrett: Solo Concerts Bremen / Lausanne (1973) 1973年のキース

ECMでのチック・コリアが1971年から1972年にかけて代表作といってもよい、素晴らしい吹き込みをしている。(ボクにとっては)それらがチックの辿り着いた高み、だと思っている。その後は、ゆっくりと同じような世界を旋回しているように、見受けられる。 キ…

(ECM 1033/34) Keith Jarrett: In The Light (1973) なかなか評価が難しいアルバムだと思うが

今回はじめて聴いたアルバム。ECMではじめての2枚組、かつクラシック・現代音楽の作品で、「作曲者」がキース・ジャレット。1973年の録音で、キースがマイルスのバンドで電化オルガンを弾いていた時期からさほど遠くない。レーベルができてから4年め、カタ…

(ECM1032) Ralph Towner: Diary (1973) 眠れぬ夜に蝋付けの羽が飛び散る夢を

ECMのなかでもECMらしいラルフ・タウナーのDiary。12弦ギターを中心とするアコウスティックな音が深く深くノイロンに浸透し、夜の帳をかけてくれる。

(ECM1030) Gary Burton:The New Quartet (1973) 古さを感じさせるのだけど

怒濤のような忙しさだった5月もお仕舞い方。ほっとしている。ECMのレコード聴き、再開。 バートンのアルバムは、ECM以前のRCA/Atlanticを何枚か持っているのだけど、白人、それもやや荒っぽい感じの白人の感性のようなものを感じさせる芯の部分があって、リ…

(ECM1028) Paul Motian: Conception Vessel (1972) 裏キース盤・モチアンのこと

1972年11月のニューヨーク録音3つめ。連日の吹き込み。全て異なるスタジオ。奏者に馴染みがあるスタジオだろうか。これは、うまくECMの音になっている。やや奥行きの浅さ、は感じるが許容内。次の29番の録音を聴いてしまったので、欧州録音の奥行きと、音が…

(ECM1027) Dave Holland: Conference of the birds (1972) 現代ジャズの起点、鳥たちのさえずりの絶対温度

[2015-4-14追記] このアルバムはレコード屋でみて欲しくなったときの感触、のようなことをしっかり覚えている。5年位前のお茶の水。まだレコード蒐集に熱は入っていなかったのだけど、確かに火をつけた一枚に違いない。今聴いても、2011-2-2の記事(下記参照…

(ECM1026) Stanley Cowell: Illusion Suite (1972) 違和感に違和感を感じる理由

昔から聴いている音を、再びある切り口で聴き直す、作業だ。今やっていることは。ECMという稀代のレーベルを順番に聴いていく、ということは、結局、アイヒャーを聴く、ということだから。今まで、そうではなくて奏者を聴いていくなかで、そのレーベルの統一…

(ECM1025) Ralph Towner With Glen Moore: Trios / Solos (1972) ECMの魔術

1972年に録音し、1973年に発売する一連のアルバムの質の高さ、に驚きを禁じ得ない。 このアルバムは、今回のLPレコード蒐集のなかではじめて聴いたもの。タウナーはDiaryが気に入りで、かれこれ30年以上聴いているのだけど。聴いておけば良かった、このアル…

(ECM1239) Denny Zeitlin, Charlie Haden: Time Remembers One Time Once (1981) デュオ好きにとって

デュオ好きにとってヘイデンって格別の人だったのだなあ、と改めて思う。closenenessで十分聴いたつもりになっていたけど、その数は随分あるようだ。だから、まだまだ聴けていない。昨夜はエスクーデとのデュオを聴いて、改めてベースらしい、ずっしりとした…

(ECM1021) Keith Jarrett & Jack DeJohnette: Ruta and Daitya(1971) ここからボクが知るECMがはじまる

この時点まで、録音の段階でECMとしてproduceされていないものは何枚かある。やはりECMらしくない印象がある。しかしながら、このアルバムもそうでありながら、tonスタジオでのre-mixで、紛れもなくECMの音世界になっている。二人で音を出す、交わり会う悦び…

(ECM1011) David Holland, Barre Phillips: Music From Two Basses (1971) ECMらしいもの、が宿った瞬間

ECMの最初期の10枚を毎日聴いていると、45年続いているECMも、最初からあった訳でなく、アイヒャーの試行錯誤(あるいは思考遍歴)のようなものが見えてくる。時代の思潮の少し先を狙いながら、出来上がった作品を見ながら微修正を繰り返す、そんなことだろ…