Kanazawa Jazz Days

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Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Miles Okazaki: Trickster (2017) 淡い旋律的なものを断片化して

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 最近、いろいろな請負仕事があって忙しい。第二の人生を余録のように生きよう、と思っていたのだけど、元の木阿弥。前職と同じような気分になって、安眠ができなくなってきた。困った。仕事での金回りは良いが(私腹は変わらない)、そんなものは要らない、のだ。

 だから、この数ヶ月、新譜情報への感度が落ちている。このアルバムはJOE (id:joefree)氏の記事を見て、慌ててダウンロードしたもの。

 クレイグ・ティバーンの電気ピアノを聴いていると、ギターのようだな、と思うことがある。アコウスティック・ピアノでの打鍵の細かな制御、特に弱音での、による音の空間構築がとても好きな感じなのだけど、電気が入ると強いアクセントがついたグルーヴ感溢れる音に変貌し、面白いなあ、と思う。いずれもミニマル的な旋律との組み合わせで、良い効果をあげているのだけど。

 このアルバムでのティボーンは、そのいずれでもなく、とても軽い感じでピアノを弾いている。その意味では、期待したような音ではないのだけど、ベースとドラムで繰り替えされるファンク的なリズムのなかで、むしろ淡い旋律的なものを断片化して流しているような感じ。それが、いい感じで主役のマイルス・オカザキのギターを浮かび上がらせているようだ。少し引いた感じでサポートする様子もまた良し、のティボーンなのだ。

 そんな音を作るオカザキの音楽も、強い個性はあまり感じないのだけど、もう少し聴いてみようかな、と思わせるものだった。フリーとファンクを巧く「クロスオーヴァー」させている、といことに好感を持った。

Trickster

Trickster

 

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Miles Okazaki: Trickster (2017, Pi recordings)
1. Kudzu 5:21
2. Mischief 3:24
3. Box in a Box 5:47
4. Eating Earth 6:43
5. Black Bolt 2:42
6. The West 3:46
7. The Calendar 9:16
8. Caduceus 6:41
9. Borderland 1:07
Miles Okazaki(g), Craig Taborn(p), Anthony Tidd(b), Sean Rickman(ds)

Bill Evans: Another time (1968) 狭い空間での演奏が、聴者との距離の近さを感じさせる

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 昨日、On a Monday eveningと一緒に届いたレコード。RSD対応の本作と同梱の発送にしたので、On a Monday eveningの入手が一月遅れた。しまった!

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 こっちが面倒くさいイヴェントRSDに合わせて発売されたレコード。このような形でプレミアム的に出されてもなあ、という感覚。普通に流通させてよ、って思う。確かに、予想購買数が少ないアルバムを売り切る手法としては分かるけど、エヴァンスは違うでしょう。

 エヴァンスの公式盤、発掘盤を通して云えるのは駄盤、駄演のなさ。これは凄い。逆にどれを聴いても驚きがない、ということになる。もっとも前回のレゾナンスの発掘盤Some other timeではスタジオでの?テイクも入っていて、散漫な印象が強かったが。その意味で、今回の盤はラジオ放送用のスタジオライヴであり、聴いていても実に締まった、素晴らしい演奏が収められている。

 3者のせめぎ合い、のようなものが心地よい緊張感を与えるとともに、エヴァンスの強く・美しいタッチのピアノが楽しめる。この時期のゴメスは、テクニックが滑るような感じはなくて、まだ聴いていられる。デジネットも時に激しく、時に美しく刻み続ける。まさにモントルーの続編的な内容で大満足。スタジオライヴという狭い空間での演奏が、聴者との距離の近さを感じさせる、また違った魅力にも溢れている。

 発掘盤の多くは、テープの劣化をイコライズするためか公式盤と比較すると、やや不自然な音が多いように思う。また前回発売のSome other timeではMPSでの録音の割りには(MPSの録音は好きだったので)、デジョネットはオフ気味だし、あまり面白くなかった。本アルバムは、そんな前作由来の不安を払拭するような、素晴らしい録音。音は極めて自然だし、バランスも良い。スタジオでの熱さ、が間近に伝わってくる。これはレコードで入手すべき一枚と確信。素晴らしい。

Another Time : The Hilversum Concert

Another Time : The Hilversum Concert

 

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Bill Evans: Another time (1968, Resonance)
A1. You’re Gonna Hear from Me (4:30)
A2. Very Early (5:14)
A3. Who Can I Turn To? (5:36)
A4. Alfie (5:29)
A5. Embraceable You (5:05)
B1. Emily (4:22)
B2. Nardis (8:34)
B2. Turn Out the Stars (4:53)
B3. Five (2:26)
Bill Evans(p), Eddie Gomez (b), Jack DeJohnette(ds)
Recorded Live at the Netherlands Radio Union (NRU) VARA Studio 8 in Hilversum on June 22, 1968

Bill Evans: On a Monday evening (1976) 破綻する手前まで弾き込むような、迫力

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  近年のエヴァンスの発掘盤の多さ、それもブート的なものでなく、には驚く。それをレコードで入手する意味はいささか疑問なのだけど、ある種の惰性だから仕方がない。ただECMの新譜をレコードで聴く、あの気持ちよさを思い起こすと、全く無意味でもない、とも思えているのだけど。

 このアルバムは昨年の鳴り物入り「Some Other Time」よりは好みかな。ライヴでのピアノの勢い、破綻する手前まで弾き込むような、迫力なのだ。エヴァンスのピアノの強靱さ、を感じることができる。ゴメスの落ち着きのないベースは好みで全くないのだけど、それを差し引いても、なお良いと思える。

 ECMのニューヨーク録音での技師、フェイバーが録音していることも注目だった。ボクは同じECMの欧州録音よりも好きで、彼の録音が気に入っている。残響が過剰手前で抑えられ、音が清澄なのだ。このレコードについては、テープの劣化のようなものをイコライズし、再び高音強調したような印象があるのだけど、どうだろうか。でも、まあ良しの範囲である。

 

On A Monday Evening(CD)

On A Monday Evening(CD)

 

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Bill Evans: On a Monday evening (1976, Concord)
A1. Sugar Plum
A2. Up With The Lark
A3. Time Remembered
A4. T.T.T. (Twelve Tone Tune)
B1. Someday My Prince Will Come
B2. Minha (All Mine)
B3. All Of You
B4. Some Other Time
Bill Evans(p), Eddie Gomez(b), Eliot Zigmund(ds)
Engineers: Larry Goldberg, James Farber
Recorded at the Madison Union Theater at the University of Wisconsin on Nov. 15, 1976

飯島晃: Combo Rakia's (1990-91) 正確な揺らぎ、のようなもの

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 CDをトレイに入れた瞬間から、穏やかな水の流れ、のような中にいる。だけど、その流れは、岩だらけの渓流のように、水面を見ているとまっすぐに流れているのではなく、そこかしこと滞留していたり、逆流していたり、渦巻いていたりする。気持ちをそんな穏やかな乱流に任せていると、それが時間の流れ、が不規則に乱れているような感覚のなかに独りいるような不安感が少しづつ沸き上がってくる。

 そのような不安感が、あまりにも美しい飯島晃のアコウスティック・ギターの正確な揺らぎ、のようなものに喚起されていることに気がつく。いや、そんな不安感に運ばれて行く先は、どこだろうか。

 ボクよりもずっと年上で、そして、ずっと年下になってしまったギタリスト。つい最近知って、ただ1枚のリーダ作を時折、鑑賞(という言葉が似つかわしい)していた。聴き終えた後の、小さなトリップ感がいい、どこでもない場所に運ばれていた、のだ。

 そんなアルバムのライヴ盤が出る、と知って驚いた。そんなことが、あるのかと。そして、今日、聴いて更に驚いた。実に録音がいい。ディジタル録音固有の透明感を維持しながら、奏者達と聴き手の間の距離が実に近い。25年以上前の演奏会場にボクは座っている。そんな悦びに溢れている。演奏の時間軸での乱流、そして現在との25年という時間の断絶。時間の進行方向の見えにくさ、に目眩がする、ようだ。「発掘盤」にあり勝ちな、カセット・テープでの私家録音と対極にある。

 

 

COMBO RAKIA'S

COMBO RAKIA'S

 

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飯島晃: Combo Rakia's (1990-91, Super Fujii Discs)
(Disc 1)
1.ロビン i,ii,iii,iv
2.背広の男と象の庭 i,ii,iii
3.約束
4.いばらのサギ師 i,ii,iii,iv,v
5.旅人の木 i,ii,iii
6.月の谷のピレア i,ii,iii,iv
7.月に隠れて
8.手に眠る花
1,8: 新宿シアターモリエール 1990.11.13
飯島晃 (g), 近藤達郎(accordion, harmonica), 向島ゆり子(vln, toy p, vo)
2-7: 吉祥寺マンダラ2 1991.7.
飯島晃(g), 関島岳郎(tuba, bass-tb)
向島ゆり子:violin

(Disc 2)
1.背広の男と象の庭 i.ii,iii
2.月の谷のピレア i,ii,iii,iv
3.待つための根拠 i,ii,iii,iv
4.砂まじり i ii
5.いばらのサギ師 i ii,iii,iv,v
6.ロビン i,ii,iii,iv
7.セラフィタの季節
吉祥寺マンダラ2 1990.12.13
飯島晃(g), 関島岳郎(tuba, bass-tb), 篠田昌已(as, ss), 近藤達郎(accordion, harmonica)

Francisco Mora Catlett: World trade music (1999) 「ちょっと古くさい」作曲の良さ

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  適当にかき集めたクレイグ・ティボーンが入ったアルバムの一つ。

 1999年のフランシスコ・モラ・カトレットのアルバム。このドラマーは初めて聴く。調べるとサン・ラ・アーケストラの人、だそうだ。やや軽い感じのドラマーで、悪くはないが印象は薄いかなあ。

 基本はピアノ・トリオ。幾つかの曲でホーンやパーカッションが加わる。印象的なのは「ちょっと古くさい」作曲の良さ。1980年前後のインディア・ナヴィゲーションのアルバムと共通する味わい。チコ・フリーマンのアルバムを聴くような。何となく懐かしい。ベースは知らない人だけど、マクビーみたいな感じでよい。 

 このピアノトリオ部分でのクレイグ・ティボーン、がなかなか良い。ほとんど今と変わらないのだけど、古い曲調との整合性が良い。彼の現代的な感性を保ったまま、あの時代の曲を軽く脱力して弾く感じが、すこぶる美味しい。この人、ピアノの鳴らせ方を細かく操作し、時々刻々変えていく感じが上手い。曲によっては、左右の手でタッチを変えていて、なかなかの効果を出している。いいアルバムだ。



World Trade Music

World Trade Music

 

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Francisco Mora Catlett: World trade music (1999, Community Projects)
1. Welcome (Francisco Mora Catlett) 1:36
Alberto Nacif, Jerome Le Duff (perc)
2. Iron Master (Yoruba Traditional P.D.) 3:34
3. Vital Force (Yoruba Traditional P.D.) 9:04
4. Hunters Child (Yoruba Traditional P.D.) 6:03
5. Baba (Yoruba Traditional P.D.) 7:44
6. The Other Side Of The Mask(Francisco Mora Catlett) 4:28
Nik Pena(tp, Sea Shell, whistle)
7. Cultural Warrior (Francisco Mora Catlett) 9:32
Andrew Daniels (perc), Kenny Cox(p), Vincent Bowens (ts,fl)
8. Earth Tones Prelude (Francisco Mora Catlett) 1:40
9. Sister Harriet (The Spirit & The Conductor) (Francisco Mora Catlett) 11:45
10. Interlude #4 (Francisco Mora Catlett) 2:38
11. El Morro (Francisco Mora Catlett) 5:55
Percussion – Alberto Nacif, Jerome Le Duff
Kenny Cox(p), Alex Harding(bs, fl), Vincent Bowens(ts,fl), Sherman Mitchell(tb, fl), Marcus Belgrave (tp)
12. African Mask (Francisco Mora Catlett) 3:19
Cassius Richmond (as, fl)
13. Crossroads (Francisco Mora Catlett) 1:55
Andrew Daniels(perc), Cassius Richmond(as, fl), Alex Harding(bs, b-cl). Nik Pena(tp, Sea Shell, whistle)

Francisco Mora Catlett(ds, perc), Craig Taborn(p), Rodney Whitaker(b)

夏の微かな匂いを

夜明け前に目覚めた。前日は夜行のフライトで眠れなかったので、早い時間から寝床に入った。布団のなかでの肌寒さが、放射冷却を感じさせる。よい天気だ。犀奥の峰が茜色になっている。

渓にクルマを走らせる。外に出ると5℃だった。水も冷たい。程よい水量の中を歩く。思わぬ場所にいた岩魚を3本釣り上げる。尺、かと思った一本は27cm。でも竿先の重さに十分満足した。

深い谷底から細い枝沢沿いに上がる。眩しい。夏の微かな匂いを感じた。淡い緑が谷底から峰の上まで勢いよく上がっていく様子、が見えた。

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今日のフライト(羽田・小松)の山岳眺望

白山上空は逆側の窓で残念だったが、上高地から穂高が見通せ、すばらしい景観だった。おおよそ、こんな感じの飛行ルート。なかなか贅沢である。

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寝ていて場所が分からなかったが、これで八ヶ岳の東側、佐久上空と分かった。64m開口のパラボラ・アンテナ。

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岳沢からの穂高。右は梓川

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同じく穂高上高地上空。

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槍ヶ岳が見える。

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蒲田川と笠ヶ岳。黒部五郎から薬師。黒部のダム湖が見える。

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有峰湖

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立山、剣が

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庄川神通川

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笈、大笠から北への稜線

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犀川上流、二又川

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手取川ダム

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片山津上空からの白山

さすがに飽きたが美味いHock Shark-Fins

昨夜の夜行便での帰国だったので、会議後、バンコク市中での許容時間は2時間弱。会議場所からBTSで数駅のHock Shark Finへ。さすがに飽きたが、やはり美味い。あまりの芸のなさ、レパートリーの狭さ、に少し目眩をおこしているのだけど。10年前にアユタヤ食べたグリーン・カレーのような、美味しいものを探す旅、でもやんなきゃ駄目だね。

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再びバンコクへ

朝はハノイのホテルでゆっくり朝食をとって、出発。朝食にフォーがなかったのが残念。

で、空港のラウンジでフォーにありついたが、これが美味い。

さて、再びバンコクに戻って、これから打ち合わせ。灼熱のソンクラーンの時期、出来れば来たくなかったなあ。通りにも人通りが絶える昼下がり、なのだ。

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河内という街

 中国という歴史的にも大きな存在を通じて、日本とヴェトナムはある種の対称性と非対称性を持っていて、その綾のようなものが面白いのだと思う。ヴェトナムを見ているようで、日本を考えていたりする。決して、昭和40年代の日本を見るようなノスタルジー、だけではないと思う。

 早くから、中国王朝の版図に入ったり、抜けたりしながら民族形成したヴェトナムの京族は、当然のことながら日本以上に漢字文化の中にあった。だからハノイはハ・ノイで、ハが河、ノイが内だとすると、薄っすらとした音韻の対応に1000年以上昔の漢字受容に思いが至る。

 河内の河は紅河。大河だからあり、その末端のデルタ地帯は穀倉地帯。先の大戦仏印当局を通じた日本軍の米の徴発が、大飢饉を招き、多くの餓死者を出している。日本軍の調査で40万人、現地では200万人だという。この地では、ヴィシー政権下にあった仏印当局と日本は戦闘状態にはなかったが(1945年の仏印接収まで)、それ故に忘れがちな事実ではなかろうか。ホーチミンのヴェトミンに加わった日本兵が多い、という事実で、先の大戦を美化する論調があるのは嘆かわしい。忘れてはならない、苦い苦い事実である。内向きの日本偉い、ではダメなのだ。(外向きの日本ダメも困るのだけど)

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紅河を渡る

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ホテルの窓の景色