Kanazawa Jazz Days

Kanazawa Jazz Days

ジャズを中心としたレコード/CD、登山/渓流釣り/ランニング、金沢の日々の暮らし

Sara Serpa: Close Up (2017) 可愛らしいアルバム

そういえば何年か前のGWのポルトガルへ行ったなあ、とぼんやり思い出した。酒も食べ物も安く・美味しくで、ポルトの宿に深夜やってくる英独の観光客をみていて、ここは欧州のタイだなあ、なんて思ったっけ。いい場所だったなあ。 

 そのとき行ったアヴェイロの帽子屋兼レコード屋で、マリア・ジョアンのアルバムを買った。高瀬アキとの共演歴があるのだけど、ポルトガル人だと、その時知った:

ポルトガルと云えば、日本全国十余名の愛好家にとってはClean Feed recordsだろう。ECM愛好家の100分の一程度ではなかろうか。その分、100倍くらい熱心なように見えるが。その cleanfeedからセールスのメイルが来ていたが、ジャケットを見ても、誰が誰だか状態だったので、飽きてしまい、適当にピックアップしたらサラ・セルパ。イングリッド・ラブロックとの共演で目に入った。

最近はECMでもヴォーカルというか、ヴォイスといった唄い手のアルバムが多くなったが、それらにも劣らぬ面白いアルバム。驚いたのは、サラ・セルパの普通に綺麗なヴォイス。曲も落ち着いたものだ。メルディス・モンクのように叫んだり、ドラマティクな旋律もない。サインホ・ナムチラクのような驚異的な発声がある訳でない。

チェロと発声による小さなアンサンブルに、見事に雰囲気を同期させた管が加わる。それが微妙な逸脱感を僅かに出したり、引っ込めたり。可愛らしいアルバムなのだ。Clean Feedにそんなのあるとは思わなかった。

Close Up

Close Up

 

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Sara Serpa: Close Up (2017, Clean Feed)
1. Object 4:04
2. Pássaros(Sara Serpa) 4:19
3. Sol Enganador(Sara Serpa) 6:01
4. The Future(Sara Serpa) 5:37
5. Listening(Sara Serpa) 2:57
6. Storm Coming(Sara Serpa) 5:20
7. Woman(Sara Serpa) 4:06
8. Quiet Riot(Sara Serpa) 3:57
9. Cantar Ao Fim(Sara Serpa) 4:59
Sara Serpa(vo), Erik Friedlander(Cello), Ingrid Laubrock(ts,ss)
Recorded live, June 15th 2017, at Pete's House, Brooklyn, New York

Ben Monder: Day After Day(2018) ヘンな違和感が薄くヘンだ

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 前日のSam Riversとともに、bandcampで購入したアルバム。昨年、マリア・シュナイダー・オーケストラで生モンダーを聴いて、今まで以上に好みの音であることを知った。一音で空間を作って、不穏な雰囲気を流し出す感じが好きだ。昔の過激なフリーゼルの音響を柔らかくした感じだけど、ヘンな違和感が気持ち良い。

 新作が出たということでダウンロード。ヘンな違和感が薄くヘンだ。軟化した後のフリーゼルのようだと思ったら、ポップ曲のカヴァー集らしい。要は物足りない。フリーゼルに続きキミもか、と思ったのだけど、端々に本性が垣間見えているから、まあイイかな、という内容。特にトリオのセッションでイッている時もあるので楽しい。

是非ともメセニー化しないで、ヘンな感じを高めていって欲しい、と勝手な希望を語ってしまったアルバム。(いい内容ですよ、念のため。)

 

 

 

 

 

ベン・モンダー / デイ・アフター・デイ (Ben Monder / Day After Day) [2CD] [Import] [日本語帯・解説付]

ベン・モンダー / デイ・アフター・デイ (Ben Monder / Day After Day) [2CD] [Import] [日本語帯・解説付]

 

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Ben Monder: Day After Day(2018, Sunnyside records)
(Disc 1)
1. Dreamsville (Henry Mancini)
2. Emily (Johnny Mandel/Johnny Mercer)
3. O Sacrum Convivium (Olivier Messiaen)
4. My One And Only Love (Guy Wood/Robert Mellin)
5. The Windows Of The World (Burt Bacharach)
6. Never Let Me Go (Jay Livingston/Ray Evans)
7. The Midnight Sun Will Never Set (Quincy Jones)
Ben Monder(g)
Recorded April 17, 2018 at Brooklyn recording
by Joseph Branciforte, mixed by Joseph Branciforte
(Disc 2)
1. Galveston (Jimmy Webb)
2. Dust (Danny Kirwan)
3. Long, Long, Long (George Harrison)
4. The Guitar Man (David Gates)
5. Goldfinger (John Barry)
6. Only Yesterday (Richard Carpenter/ John Bettis)
7. Just Like A Woman (Bob Dylan)
8. Day After Day (Pete Ham)
Ben Monder(g), Matt Brewer (b on 1,2,4,5,6,7) , Ted Poor(ds on 1-7)
Recorded october 1 & 2, 2018 at Brooklyn recording
by James Farber, mixed by James Farber (except 8 by Joseph Branciforte)

Sam Rivers, Dave Holland, Barry Altschul: Reunion: Live In New York(2007) サークルや鳩首会議から

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先日、サム・リヴァースを久々に聴いて、いいな、と思った。濃密なジャズで、それを少し抽象化したようなフリージャズの味付け、のような感じが格好いい、のだ。

昔聴いた、ECMでのリヴァースは、ジョージ・ルイスの浮遊トロンボーンと強い残響の中で吹いていて、風呂場の遊びのようで馴染めなかった。マイルスの東京の少し先、くらいが嬉しい。

まだ存命かと思ったら、実はロイ・ヘインズ以上に旧い世代。1923年生まれで2011年に88歳でこの世を去っている。長命だった。1970年代のロフトジャズを牽引している時で既に50代だったのだ。驚いた:

ちなみに

  • Roy Haynes (born March 13, 1925) さすがに最近は動静を聞かないような
  • Lee Konitz (born October 13, 1927) この人は現役。信じがたい。
  • Jimmy Cobb (born January 20, 1929) 近年アルバムを連発
  • André Previn (born ; April 6, 1929 – February 28, 2019) 先日逝去
  • 秋吉敏子 (Born 12 December 1929) 現役
  • Annie Ross (born 25 July 1930) 数年前、ヘンドリックスとのライヴ告知が
  • Sonny Rollins (born September 7, 1930) 最近は動静を聞かない
  • Wayne Shorter (born August 25, 1933) 現役
  • 渡辺 貞夫 (born February 1, 1933) 現役

ということ。

前置きはさておき、逝去4年前、2007年のアルバム。83歳での吹き込みだから、昨年のショーターと同じくらい。そんな年齢を感じさせないで、吹き続ける。パワーで吹き抜ける、というよりは、落ち着いた音のなかで濃厚なジャズの空気を感じさせる。楽器の鳴りも良く、嬉しい。

ホランドとアルトシュルとの組み合わせは、やはり好きだ。分かりやすい、ジャズっぽさが、というか。1970年代のサークルや鳩首会議から、良い意味で変わっていない良さを堪能できるライヴ録音。

 

Reunion: Live in New York

Reunion: Live in New York

 

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Sam Rivers, Dave Holland, Barry Altschul: Reunion: Live In New York(2007, pi recordings)
(Disc 1)
1. Part 1 8:07
2. Part 2 9:41
3. Part 3 15:45
4. Part 4 8:37
5. Part 5 9:32
(Disc 2)
1. Part 1 8:55
2. Part 2 14:46
3. Part 3 4:10
4. Part 4 7:23
Sam Rivers(ts, ss, fl, p), Dave Holland(b), Barry Altschul(ds)
Recorded live at Miller Theatre at Columbia University, New York, NY on May 25, 2007.

仕事場前の枝垂れ桜(2)

本日は曇天.仕事場前の枝垂れは頑張っている.

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例年は,3月終わりの犀星の碑あたりから,犀川河畔,卯辰山ときて,この枝垂れでGW一週間くらい前まで.GW前が泉野体育館裏の墓場横の菊桜でお仕舞い.

もう桜はお仕舞い気味の金沢,でももう少し.

 

Charles Lloyd: Live... 1966 (1966) 昨日に続くHi Hat盤、面白すぎる

昨日に続いてHI HATのBoot:

これまた録音が良く、手慣れたイコライズの賜か。Bootの哀しさは一切なしのアルバム。内容的にもライヴの良さ全開。キース・ジャレットのピアノをはじめ、マクビーもデジョネットも明瞭。それが嬉しい。だから長尺のソロも楽しめる。若きジャレットが、時としてマイルスバンドでのウィントン・ケリーの「いつか王子様が」的なフレーズがあったりして微笑ましい。バップ的、ジャズ・ロック的、フリー的な音を自在に繰り出す。まだスタイルは固まっていない、ように思えるが。

不思議なことに、1966年のライヴといえばForest Flowerがあるのだけど、このBootのほうが面白く感じる。Forest Flowerで感じる、ある種の「まとまり」がアルバムの質を高めているのだけど、このグループの持つ先進性のようなものを切っているのではないか。その部分で、やや過去のアルバムの装いになってしまった、ように思う。1966年のジョージ・アヴァキャンのセンスが加味されて。だからジャレット、マクビー、デジョネットのトリオの面白さのようなものが、大分と減じているように思えるのだけど、どうだろうか。ライヴの冗長さを上回る面白さ、を感じてならない。

それにしても、1960年代後半にジャレットを擁して人気を得たロイドだけど、このカルテットを解散した後は低調。ボクがジャズを聴きはじめた1979年当時、過去の人。この時期のロイドについては、カルフォルニアで半ば隠遁していて、ミッシェル・ペトルチアーニのドキュメンタリーで触れられている。1980年代になってペトルチアーニを擁して復活したときのアルバムは素晴らしく、大の愛聴盤だった。そこからペトルチアーニは亡くなるまで、随分と聴いた。ロイドはその後、ECMで素晴らしいアルバムを出し続けて今に至るのだけど、このbootを聴いて気がついたのは、あまり変わっていないこと。ジャレットとの時期、ペトルチアーニとの時期、そして現在、不連続は感じない。その頃から現代のジャズをやっていたのではないか。1960年代後半のブレイ、ジェフレー、スワローらから現代のジャズに繋がっていくだけでなく、確かにロイドもそのような存在かな、と思った。

 

 追記:

Bootでspotifyで聴けるから、まあいいか、と思っていたが、「配信中止」になったら耐えられないな、と思ったので、注文。やれやれ、何のための配信サーヴィスなんだか。

LIVE1966

LIVE1966

 

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Charles Lloyd: Live... 1966 (1966, Hi Hat)
1. Love Ship
2. Love Song To A Baby
3. East Of The Sun
4. Tribal Sun
5. Mississippi Blues
Gyllene, Cirkeln
Stockholm, Sweden
April 29th 1966 P2 Broadcast

6. Autumn Sequence
7. Forest Flower
8. Love Ship
9. Island Blues
Juan-les-Pins Jazz Festival, Antibes
July 23rd 1966 WDR3 Broadcast

(Disc 2)
1. Love Song To A Baby
2. Love ShipGuerzenich, Cologne
Studio 1, Cologne
October 25th 1966 WDR3 Broadcast
(with Orchestra Kurt Edelhagen)

October 26th 1966 WDR3 Broadcast
3. Autumn Sequence
4. Song My Lady Sings
5. Dream Weaver

Charles Lloyd(ts,fl), Keith Jarrett(p), Cecil McBee(b), Jack DeJohnette(ds)

Paul Bley: Festival International De Jazz Lugano 31 August 1966 (1966) この時期のベストではないか、と思うのだけど

昨日は部屋でだらだらと仕事。ラジオ代わりにspotifyを垂れ流し。これはいい。

長くBoot音源はあまり聴いていなかった。何かCD/CDR時代になってキリがない感覚だから。しかしspotifyにHi Hat盤があるのに気がついて、ラジオ代わりに聴いてみたら、これがいい。昔、聴いていたジャズライヴのラジオ番組、それも特番って感じ。1時間以上だからね。編集も入っていないので、荒っぽいがソレもいい。

 このポール・ブレイのライヴ、非常に良い。同時期(1966年11月4日)に同じメンバーでのライヴ(オランダのハーレム)があるが、フリー(に聴こえる)部分を強調したような、求心力がない発散したような演奏で全く面白くない。アルトシュルはともかく、レヴィンソンに存在感がない。

だから、このアルバムの存在は知っていたのだけど、聴いていなかった。spotifyでみつけて聴いてみると、その内容の良さに驚いた。Bootで片付けられない。まず放送音源らしく、録音が驚くほど良い。ブレイのタッチの強靱さが直接伝わる。ちょっと歪むくらい音圧が上がっているので、これはイコライズの力だろうな。ディジタル時代の悪戯だと思うが、許せる。その強靱なタッチにアルトシュルの打楽器的なドラムが迫り来る様子、冷たく熱いパルス。堪らない。また選曲が良い。良い曲の旋律が美しく、フリー的に放たれる部分と曲の旋律の按分、のようなものも良い。集中力を切らさず継目なしに行き交うその漂う感じ、がビンビン伝わる。凄く楽しい。レヴィンソンも小粒感はあるが、大健闘。

Ramblin' の緊張感、それが最後の一打で破れた後の Ida LupinoからMr. Joyの流れは昂奮と涙(気持ちの中ね)だった。

 という訳で、この時期のベストではないか、と思うのだけど、どうだろうか。

追記:

この音の強度に浸っていて感じるのは、この音が現代のジャズそのもの、ということ。晩年までのブレイと同じであり、ジェフリーからブレイの流れがECMの礎であったことを思い合わせると、そういうことなんだろうな、と改めて強く思った。

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Paul Bley: Festival International De Jazz Lugano 31 August 1966 (1966, Hi Hat)
1. Announcement By Joyce Pataccini 1:15
2. Both (Annette Peacock) 6:40
3. Mazatalon (Paul Bley) 8:16
4. Albert's Love Theme (Annette Peacock) 6:37
5. Ramblin' (Ornette Coleman) 7:13
6. Ida Lupino(Carla Bley) / Mr. Joy (Annette Peacock) 6:58
Paul Bley(p), Mark Levinson(b), Barry Altschul(ds)
Recorded At – Festival International De Jazz, Lugano

マニ教関連のサイト

数年に一度、ニュースか何かでマニ教の名前が出る。ボクにとっては、スタインやヘディンあるいは大谷探検隊の、西域話の隅っこ、という形で記憶に残っている。

ロスター教や、早々に分岐したキリスト教東方教会アルメニア、シリアあるいはエチオピア、更には景教へ)などは、景教以外はしぶとく残っているが、ペルシャ系ソグド人を中心に伝搬したマニ教は彼方に消えた、と思っていた。だから、そのマニ教の教祖の絵が日本に残っていたり、未だ中国にマニ教の寺や信者が残っていたり、の話には大いに惹かれる。天平の頃、ゾロスター教徒とともに平城京に居たかもしれないしね。

ここに奈良国立博物館での展示品として紹介:

https://www.narahaku.go.jp/archives/download/dayori_109.pdf

マニ教 - Wikipedia

上二つの記事を読むと、隠れキリシタンではないが、既にマニ教としての教義どころかマニ教徒としてのアイデンティティも喪失している様子が分かる。ひょっとすると、中国の何処かに隠れ景教の村がないのか、と思ってしまう。

Sam Rivers: Paragon (1977) デイヴ・ホランドとバリー・アルトシュルとのトリオ

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デイヴ・ホランドとバリー・アルトシュルの組み合わせは大好き。あまり粘りのない、熱気を感じさせない、でも濃厚なビート空間を作るから、と云ったらいいのか。

コリアのA.R.C.が好きだったのだけど、実は、この二人が要だったのでは、とも思っているし、だからブラックストンのTown hallのライヴだってそうだし、ブラックストンとリヴァースを加えた鳩首会議(これは邦題がいいなあ)もそう。

このサム・リヴァースのトリオを聴いていて、そんなことが頭の中で焦点を結んだような気がする。マイルスの東京ライヴでのプレイや、後年のECMのアルバムでもそうなんだけど、リヴァースの演奏は熱気や感情に流されるような感じではなく、割と冷たく密度の高い演奏をする感じ。だからデイヴ・ホランドとバリー・アルトシュルとのトリオって、とても相性の良い感じで、彼ら三極の音空間を聴かせる。やっぱり、このあたりが一番好きだなあ。

それにしてもリヴァースは大活躍で、テナー、ソプラノ、フルートに加えピアノまで披露している。曲によって楽器まで換えている。達者だなあ。

追記:pi recordingsに近年のライヴがあるようだ。聴かなきゃ!

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Sam Rivers: Paragon (1977, Fluid Records)
1. Ecstasy(Sam Rivers) 5:38
2. Bliss(Sam Rivers) 6:23
3. Rapture(Sam Rivers) 5:10
4. Tingle(Sam Rivers) 7:28
5. Paragon(Sam Rivers) 12:15
Sam Rivers(ts, ss, fl, p), Dave Holland(b), Barry Altschul(ds, perc)
Engineer: Claude Ermelin
Producer: Alain Wolfson, Christian Besnier
Recorded April 18, 1977 at Davout Studio, Paris.

Mark Guiliana: BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! (2019) 期待が大きいとこんな事も

 2014年から2015年というと、もう5年近く前じゃないか。

その頃、ブラッド・メルドーのプロモーション・ヴィデオでMehlianaを聴いて、メルドーのローズもさることながら、若いドラム奏者マーク・ジュリアナのビートのパルス感、非常に分解能が高く、その高い分解能でfractuationを制御するような、にとても昂奮。彼のバンドBeat musicのライヴ(ジェイソン・リンドナーらと来日)で頂点に達した記憶がある。

  同時期のジュリアナのアルバムMy life starts nowもBeat music/The Los Angels improvisations も、彼のドラミングを煮詰めたようなアルバムで、実に楽しく、気持ち良いものだった。My life starts nowでは良く出来た曲、ジャズっぽくはないが、ポップな曲でのドラムの切れ味も良く、彼のスケールの大きさを感じさせるアルバム。Beat musicは、ある種の習作集でこれでもかと変態的にビートを聴かせる、それが楽しかったな。

その後、Mehlianaのライヴを大阪クアトロで聴いて痺れ倒したトコロで、この導入部はお仕舞い。その後のジャズにもう少し寄り添った2枚はピンとこなくて、すっかり遠い思い出のような気分。

デヴィッド・ボウイの遺作あたりまでが何となく話題にはなっていたが、最近は本当にどうしているのだろうか、という感じだった。

そんな忘れた頃にやって来た新作。悪くはないのだけど、前作(My life starts nowやBeat music)ほどは惹かない。My life starts nowよりは曲の作りが粗っぽいし(良い曲もあるが)、The Los Angels improvisationほど偏執狂的なビートの追求もないかなあ。また聴いてみようと思うが、期待が大きいとこんな事もあるかなあ、という気持ち。リンドナーのNow Vs. Nowのほうが手堅く前進しているんじゃないか、と思ったりもしている。

BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! [Limited Yellow vinyl] [Analog]

BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! [Limited Yellow vinyl] [Analog]

 

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Mark Guiliana: BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! (2019)
1. GIRL 05:05
2. BONES 05:27
3. BUD 03:56
4. BULLET 04:33
5. HOME 03:51
6. ROAST 04:35
7. HUMAN 07:01
8. BLOOM 04:24
9. STREAM 06:35
Mark Guiliana(ds), Jason Lindner(key), Tim Lefebvre(b), Gretchen Parlato(vo)

 

Q.B.B.:古本屋台(2018) とにかく面白い(若干のつげ義春ネタ)

古本屋台 (書籍扱いコミック)

古本屋台 (書籍扱いコミック)

 

 今日届いた漫画。つげ本を注文しようとしたら、amazonの推奨本リストに出たもの。これが実に面白い。屋台の古本屋。そこが一杯だけ出す。さつま白波、寒くなるとお湯割り、熱くなるロック。古本好き、酒好き、には堪えられない。ツボにハマった。

屋台を引くオヤジも渋いし、出てくる本も渋い。何が面白いか云えないが、とにかく面白い。

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つげネタ初級編は、「ねじ式」を筆頭に1960年代ガロなんだろうが、晶文社から出た「必殺するめ固め」に収録された漫画をネタにするところが渋い(こればかり)。1970年代の作品集で、夢モノが異様で面白い。ガロ期ともその後のバク期(のリアリズム)とも異なる実験的で異様な世界。その時間・空間的な歪みが、まさに夢の世界で感じるアレなのだ。これを飄々とネタにする感覚の可笑しさ、が楽しい。

追記1:

ブログをアップしてから本の帯を見たら、やはり渋い、だった。そこに尽きるもんなあ。

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追記2:

最近、amazonのシステムの推奨で見るべきものがなくなってきたので、こんな買い方は久しぶり。amazonはレビューも荒れているし、マーケット・プレイスの値付けもおかしくなったし、最近は急激に買わなくなってきた。古本は「日本の古本屋」(和本)、ABE BOOKS(洋書)がいいし、CD/レコードはディスクユニオン/HMVなのだ。アマゾン・プライムの値上げで、更新を真剣に悩んでいる。

Orrin Evans And The Captain Black Big Band: Presence (2018) 1970年代の熱気、のようなものが

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これ、たまたま聴いてみたのだけど、かなり良い。何が良いか、好きな1970年代ジャズ(ウッディ・ショウが好きだなあ、とかロイ・ブルックもいいなあの感じね)の空気が金管の編曲に詰まっていて楽しい。で、それでいてオリン・エヴァンスのピアノは、今風の音を出しながら、バンドを強くドライヴさせている。その速度感に参った。

1970年代の熱気、のようなものが、今のジャズになっている、その魅力が剛速球で投げ込まれているのだ。

Presence -Digi-

Presence -Digi-

 

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Orrin Evans And The Captain Black Big Band: Presence (2018, Smoke Sessions Records)
1. The Scythe (David Gibson) 9:30
2. Question(Eric Revis, arrange:Josh Lawrence) 8:32
3. Onward (John Raymond) 10:34
4. When It Comes (Orrin Evans) 3:16
5. Flip The Script (Orrin Evans, arrange:John Raymond) 10:04
6. Trams (Troy Roberts) 11:54
7. Answer (Orrin Evans, arrange: Josh Lawrence) 13:08
8. Presence (Josh Lawrence) 8:59
9. When It Comes (Alternate Take) (Orrin Evans) 1:21
Orrin Evans(p), Madison Rast(b), Anwar Marshall (ds on 2, 4, 6, 7, 9), Jason Brown (ds on 1, 3, 5, 8), Bryan Davis (tp on 2, 6, 7, 9), John Raymond (tp), Josh Lawrence (tp on 1, 3 to 5, 8), Brent White (tb on 9), David Gibson (tb), Stafford Hunter (tb on 1 to 8), Troy Roberts(ts), Caleb Curtis(as on 2, 3, 5 to 7, 9), Todd Bashore (tas on 1, 4, 8)

(ECM 2414/15) Tigran Hamasyan: Atmosphères (2014) お香のような

2016年に発売された時に直ぐ入手したアルバム。前作がアルメニアの合唱団との吹き込みで、単なるオリエンタリズムだけではない、深遠なる宗教曲の魅力に魅了された:

しかし、このアルバムに及んで、ハマシアンのピアノの「キメのアルメニア旋律」のワンパターンさ、に気持ち悪くなった。そんな訳で、その後は聴いていなかった。

最近になって気がついた。これは彼のピアノだけを聴くものではない。タイトルAtmosphèresのとおり、淡い感じで音を流し、墨が流れるように、ゆっくりと部屋の中に音の軌跡を描かせれば良い、そんな聴き方。そうアンビエントもの、なのだ。少し音量を落としてやると、ピアノだか何だか、細かな音はどうでもよくなり、お香に着火したときのように芳香が漂う。

そう分かってしまうと、何回も聴き直してしまった。これお香のようなアルバムなんだよね。朝、起きがけにスッキリするために聴いてみるといいよ。ハマシアンの思う大気が部屋に流れ出す。

ATMOSPHERES

ATMOSPHERES

 

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(ECM 2414/15) Tigran Hamasyan: Atmosphères (2014)
(Disc 1)
1. Traces I (Aarset, Bang, Hamasyan) 6:52
2. Tsirani Tsar (Komitas) 5:44
3. Traces II (Henriksen, Aarset, Bang, Hamasyan) 4:32
4. races III (Aarset, Bang, Hamasyan) 5:46
5. Traces IV (Henriksen, Aarset, Bang, Hamasyan) 5:15
6. Traces V / Garun A 12:39
6.1 Traces V (Hamasyan, Henriksen, Aarset, Bang)
6.2 Garun A (Komitas)
7. Traces VI (Henriksen, Aarset, Bang, Hamasyan) 4:50
8. Garun A (Var.) (Komitas) 3:51
(Disc 2)
1. Traces VII (Henriksen, Aarset, Bang, Hamasyan) 9:28
2. Traces VIII(Henriksen, Aarset, Bang, Hamasyan) 5:59
3. Shushiki (Komitas) 4:41
4. Hoy, Nazan (Komitas) 3:51
5. Traces IX (Henriksen, Aarset, Bang, Hamasyan) 5:53
6. Traces X (Henriksen, Aarset, Bang, Hamasyan) 5:56
7. Angel Of Girona / Qeler Tsoler 3:35
7.1 Angel Of Girona (Isaac Albéniz)
7.2 Qeler Tsoler (Komitas)
Tigran Hamasyan(p), Arve Henriksen(tp), Eivind Aarset(g), Jan Bang(sampler)
Design: Sascha Kleis
Engineer: Stefano Amerio
Recorded June 2014
Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano

菊地雅章, Gary Peacock, Paul Motian: Tethered Moon(1991) 聴き手の意識を無限の円環に

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ここ数日、菊地雅章を聴き続けている。面白いのだけど、何か腑に落ちないような感覚、が常に残る。この音は何だろうか、と。強い内向きの印象を与えるのだけど、必ずしも嘆美的、陶酔的でない。かなり覚めている。覚めているのだけど、熱いわけでもなく、冷たい音でもない。そんな風に聴き手の意識を無限の円環に放り込む。そして不思議だけが残る。

 このアルバムの最初の数曲は所謂スタンダード。菊地の強い打鍵、そして粒立つピアノの音に耳が惹きつけられる。そうなのだけど、それを聴かせている訳ではない。次第に彼の円環的な、不思議の中にいる。そう奇妙な味、なのだ。

聴いていると、そんな菊地の世界に、ピーコック、モチアンともに溶け込んでいる。それでも、取って付けたようなスタンダード曲よりは、ピーコック、菊地の曲のほうが数倍面白い。彼らが聴かせたい部分を増感したような曲だから。疎なるピアノが叩き出すmoorの速度感、P.S.やTethered Moonの美しさ。だから、そんな部分だけ純粋培養し、発散しているのがFirst meetingなのだけど、だから面白い。その面白さを冗長にならず凝縮した後半の4曲、ピーコックと菊地の曲、は本当に素晴らしい。 

テザード・ムーン

テザード・ムーン

 

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菊地雅章, Gary Peacock, Paul Motian: Tethered Moon(1991, Paddle Wheel)
1. You're My Everything (Warren, Young, Dixon) 5:25
2. Misterioso (Thelonious Monk) 9:44
3. So In Love (Cole Porter) 4:22
4. Moniker (Gary Peacock) 5:41
5. P.S. (Gary Peacock) 9:37
6. Moor (Gary Peacock) 8:43
7. Tethered Moon (Masabumi Kikuchi) 14:08
菊地雅章(p), Gary Peacock(b), Paul Motian(ds)
Recording Engineer: Jay Newland
Assistant Engineer: Matthew La Monica
Mastering Engineer: Akira Andoh
Executive-Producer: Yoichi Nakao
Producer [For Second Wind Music Inc.] : Masabumi Kikuchi
Producer [For Shirotama Music Inc.] : Tsunenobu Kawada
Recorded 16, 17, 18 November 1991 at Power Station, New York